研究課題/領域番号 |
15K21357
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
歌川 光一 名古屋女子大学, 文学部, 講師 (50708998)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | たしなみ / 音楽 / 文化資本 / 女子教育 / 高等女学校 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦前期における中・上層女子の「音楽のたしなみ」の文化資本効果を実証的に明らかにすることにある。近年の女子教育史研究では、中・上層女子にとって近代西洋芸術の習得が擬似立身出世主義として機能した、とする「芸術主義」が指摘されている。この「芸術主義」を検証する際には、①遊芸を含む「伝統芸術」も視野に入れること、②メディア上の表象に限らない実証的分析を行うこと、の二点が重要になる。本研究では、「音楽のたしなみ」に着目しながら、各種調査、学校関係資料、礼儀作法書、人名録、自伝などの多様な史資料の分析を通じて、戦前期における中・上層女子の芸術的素養の文化資本効果を実証的に明らかにする。 平成27年度は、主に、史料調査(東京府内の旧制高等女学校の学校沿革史や校友会雑誌・同窓会雑誌、礼儀作法書等)、史料のデータベース化(校友会雑誌・同窓会雑誌における音楽関連記事の整理、婦人雑誌・少女雑誌における音楽関連記事の整理、礼儀作法書における音楽関連記述の整理、婦人雑誌グラビアにおける音楽愛好家や令嬢のプロフィール整理、女性音楽家のプロフィール整理)、国内外の音楽史、教育史、女性史研究の再整理および再解釈(教育史研究としての「趣味」概念の検討、日本における西洋音楽受容の担い手の多様性の考察、近代日本における音楽のプロとアアマチュアの境界の分析、女性のたしなみとしての邦楽と洋楽の役割の違い、東京音楽学校卒業の学歴としての意義の考察等)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に関しては、当初の計画通り史料の収集とそのデータベース化を行い、論文等の成果として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、史料のデータベースに基づいた分析を進める。とりわけ、高等女学校就学者の音楽のたしなみの披露や、女性雑誌上で音楽のたしなみをプロフィールに挙げることの戦略性に着目し、教育文化史の観点から成果をまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関(大学)のキャンパス移転等による研究環境の再整備のために、学会参加、発表の機会が十分に確保できず、旅費の出費が予定より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加、発表の旅費として計上される予定である。
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