研究課題/領域番号 |
15K21358
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
秦 若菜 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (50448958)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 吃音 / リハビリテーション / リハビリテーション効果 |
研究実績の概要 |
吃音とは、音や語の繰り返し、ブロックと呼ばれる発話の中断などを主症状とする発話の障害の一つである。本邦では言語聴覚士による成人吃音者のリハビリテーションを行う事ができる施設は少なく、広く吃音者に効果的な言語聴覚療法を提供するまでには至っていない。今後の吃音臨床においてリハビリテーションの効率性を検証してリハビリテーションの質の向上を図るうえで、吃症状の改善の様相を明らかにすることは、吃音治療の重要な基礎データになると考えている。そこで、本研究は吃音者に対し統合的アプローチを用いたリハビリテーションを実施し、実施前評価・実施後評価を比較して、吃音の症状および吃音者自身の主観的な評価に変化がみられるのか、その変化はどの程度であるかを検証する。さらに、吃音者のリハビリテーション実施前の吃症状およびその他の背景因子(性別、年齢、自己評価値、社交不安の程度など)とリハビリテーション終了時の吃症状・リハビリテーション実施期間・回数との関連性の有無を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は5月に北里大学医学部・病院倫理委員会に倫理審査を申請し、7月に承認を得た。8月下旬より参加者のリクルートを開始し、現在25名の同意を得た。各参加者の初回評価を実施し、基本情報の収集を行った。リハビリテーションが継続された参加者については中間評価を実施した。中間評価を実施した参加者のうち2例について統合的アプローチ開始前と3回実施後の文章音読時間を比較した。音声は音響分析ソフトにて音声波形と狭帯域スペクトログラムを用い、①音読部分②症状部分③休止部分(文節間の無音区間)の所要時間を計測した。治療開始前の吃頻度は症例1が7.7%、症例2が40.4%で、両例とも3回実施後には吃音症状が消失した。音読速度、1回の休止時間に変化はないが、休止回数が減少し、流暢性が促進された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究参加者のリクルートを開始する時期が当初の予定より若干遅くなったため。参加者のリクルート開始後は順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は①対象者のリクルートを継続 ②新たな対象者に関する基本情報の収集、初回評価およびリハビリテーション実施3回目終了時評価、リハビリテーション終了時評価の検査データの収集 ③リハビリテーションの実施に関するデータの収集 ④評価時に録音した録音データの解析 ⑤統計学的解析・検討を行う。 ①対象者のリクルート:対象者の選択基準は吃症状を主訴として北里大学東病院を受診し、吃音と診断された15歳以上の者。吃音の発 症は学齢期以前である者とする。目標対象者数は50名である。②基本情報・評価の検査データの収集:基本情報として、年齢、性別、 職業、主訴、発症時期、家族歴を収集する。検査は吃音症状の測定として「吃音検査」、吃音の自覚症状に関する調査として「吃音のある人の発話場面への反応に関する自己評定」、社交不安の評価として「Liebowitz Social Anxiety Scale 日本語版(LSAS-J)」を 実施する。吃音検査は実施時の音声を録音する。③リハビリの実施に関するデータの収集:リハビリを実施した期間とその回数を集計する。④音声データの解析:録音した音声を音声分析ソフトを用いて音声波形と狭帯域スペクトログラムを表示の上、症状の頻度(%) と症状最長持続時間(ms)を測定する。⑤統計学的解析はリハビリテーション実施後の吃症状を主要アウトカム評価項目として、リハビリテーション実施前後の吃頻度および吃症状持続時間を比較し、リハビリテーションの有効性を検討する。また、副次アウトカム評価項目を(1)治療効果に影響を及ぼす因子の推定(2)治療過程中評価からの予後予測 の2点とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】2016年度は研究の実施にあたって、研究手続きに関しての関係部署内での調整や話し合い、倫理審査申請書の作成に多くの時間を費やしたため、研究の進度に若干の遅れが生じた。従って、2016年度に計画していた内容を2017年度に実施した。そのため、当初2017年度に実施予定であった内容の一部を2018年度に実施することとした。これにより、2017年度分の費用が2018年度に繰り越された。
【使用計画】物品費として、検査データおよび音声データ保存のための外部記憶媒体(USBメモリー)、その他文房具等消耗品を購入予定である。旅費として、学会発表および調査のために使用予定である。人件費・謝金として、主に音声データの解析に関わる人件費を支出する予定である。
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