肺の微乳頭腺癌(MPPAC)の生物学的特性の解明とその鑑別マーカー獲得のため、MPPAC細胞株の癌幹細胞様細胞を樹立し、2次元電気泳動法による解析を行った。同定されたタンパク質であるNAP1L1について、肺癌における診断的有用性を評価するため、肺癌組織を用いて免疫染色を行った。その結果、腺癌でのNAP1L1発現は分化度、腫瘍径、病理学的ステージ、リンパ節転移、リンパ管侵襲、血管侵襲、そして予後不良と有意に相関していた。多変量解析の結果からNAP1L1は独立した予後不良因子であった。以上より、NAP1L1は腺癌の悪性度や予後予測マーカーとして有用であることが示唆された。
|