研究課題/領域番号 |
15K21360
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松井 秀仁 北里大学, 北里生命科学研究所, 上級研究員 (80503797)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MRSA / ファージ / 迅速診断 / イムノクロマト |
研究実績の概要 |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染の重要な起因菌である。既存の検査法では、菌種同定結果を得るには数日を要する。しかし、特に侵襲性感染の場合、早期に適切な抗菌薬治療を行うことが患者の致死率に直結する為、臨床の現場では、より迅速簡便な検査方法の確立が望まれている。 我々は、黄色ブドウ球菌に特異的に感染するバクテリオファージより吸着タンパクを同定し、新たな診断薬開発の材料となる可能性を報告した。そこで本研究では、上記ファージタンパクを用いた新たなMRSA簡易迅速診断方法を確立することを目的としている。 今年度は、ファージ由来吸着タンパク(ORF16)のリコンビナントタンパク発現系を構築し、その精製条件を確立した。得られた吸着タンパクを用いて、イムノクロマト法の原理を応用した簡易検出系のプロトタイプを構築した。また、基礎的な性能評価として、最小検出感度、交差反応性の評価を行い、黄色ブドウ球菌特異的に検出可能であることを確認した。現在、作製条件の最適化を行い、検出感度の更なる改善を目指して検討を進めている。また、血液培養ボトルサンプルからの検体処理方法を確立し、MRSAの耐性遺伝子産物であるPBP2'の検出を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究項目としていた、ファージ吸着タンパクを用いた黄色ブドウ球菌検出系については概ね確立し、特異性を有する事も確認できた。さらに、血液培養ボトル検体の処理方法を確立したことからも、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ファージ吸着タンパクの結合ドメインを決定する為、truncated rORF16を調製して評価を実施する。また、それらの結合ドメインタンパクを用いた検出系の改善を検討する。さらに、先に我々が構築したPBP2'検出イムノクロマト法との一体化についての検討を実施する。
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