ヒトを含めた哺乳類の中枢神経系には高濃度の D-セリンが存在する。D-セリンは NMDA 受容体を介して高次の脳機能に重要な働きをしていることが示唆されている。申請者は、モデル生物である線虫 C. elegans の耐性幼虫では、正常発生した幼虫と比較して D-セリン含量が著しく増加し、D-セリンが耐性幼虫の成長に関与していることを明らかにした。また、哺乳類セリンラセマーゼと相同性が高い遺伝子の一つは、L-セリンデヒドラターゼをコードしていること、また、D-セリン合成に間接的に関与していることを明らかにした。
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