研究実績の概要 |
Lactobacillus casei ATCC 27139の自然免疫賦活化に関わる菌体因子および宿主レセプター分子を推測するため、マウス脾細胞(7.5×10^5 cells/ml, C57BL/6N)と野生株加熱死菌体(15 μg/ml)を3日間共培養し、TNF-α産生量をELISAにより計測した。野生株のみを添加した際に認められたTNF-αの有意な産生亢進は、貪食阻害剤およびCa2+キレート剤を添加した際には認められなかった。また、野生株のペプチドグリカンまたは免疫賦活化欠失株の加熱死菌体と共培養した際にもTNF-αの産生亢進は認められなかった。以上のことから、自然免疫賦活化にはマクロファージなど貪食細胞による貪食およびATCC27139の菌体表層構造が不可欠であり、菌体表層構造のレセプター分子としてC型レクチンレセプターが推察された。 菌体表層構造の構成因子であるガラクトース、ラムノースまたはグルコースを同時添加し、同様の方法にてTNF-α産生量を計測したところ、ラムノースを添加した際にのみTNF-αの産生亢進は有意に低下した。したがって、ATCC27139 の自然免疫賦活化には菌体因子としてラムノースが関与することが示唆された。 免疫賦活化に関わる宿主レセプター分子を推測するため、マウス脾細胞溶解液について関与が推察されているラムノース糖鎖プローブおよび抗マウスCD14抗体を用いてウェスタンブロッティングを行い、検出されるバンドサイズを比較した。その結果、ラムノース糖鎖プローブを用いた際に認められる検出バンドは抗マウスCD14 抗体を用いた際にも同サイズにて認められ、ATCC27139 の自然免疫賦活化には菌体表層因子のラムノースがラムノース結合性 C 型レクチンレセプターとしてCD14を介し、宿主の自然免疫賦活化に関与することが推察された。
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