研究課題
先ず期間全体を通して、CAPN6の骨格筋分化制御のメカニズムとしてCAPN6による低分子量Gタンパク質RhoAの活性調節が重要であることを示す知見を得た。一方、先行研究で明らかとしていたCAPN6の微小管安定化やGEF-H1の活性制御の機能と骨格筋の分化制御との関連については、野生型マウスとCapn6 KO(ノックアウトマウス)の胎児筋でのアセチル化チューブリンおよびGEF-H1のタンパク質量の比較から、骨格筋分化の進展とは一致する結果が得られなかった。このことから、CAPN6のRhoA活性調節を介した骨格筋の発達抑制は、微小管やGEF-H1の調節とは異なる経路が重要な役割を果たしていることが示唆された。そこで最終年度では、CAPN6の生理機能発現に重要な相互作用タンパク質の探索を行ったが、CAPN6と最もタンパク質の構造的類似性が高いCAPN5が低分子量Gタンパク質の活性調節を介してアクチン骨格を制御(一方の微小管の構築には影響を与えない)していることを示唆するデータが得られ、CAPN6の新しい相互関連分子として着目するに至っている。今後はCAPN6とCAPN5との相互作用や両分子によるプロテオリシスの解析からCAPN6の生理機能発現機構の解析を進めていく予定である。また、Capn6 KOを用いた昭和大学宮崎拓郎博士との共同研究において、CAPN6がTNF-α刺激によりマクロファージで発現誘導され、LDLの飲作用を阻害することで動脈硬化を増悪させるという病態と直接関連する新規の生理的役割が明らかとなった(昨年度)。また、そのメカニズムとしてエキソン接合部複合体タンパク質CWC22のスプライシング調節を介したRac1の発現阻害が明らかとなり、病態発現においてもCAPN6の低分子量Gタンパク質の調節機能が重要な役割を果たしていることを示す結果が得られた(最終年度)。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
The Journal of Clinical Investigation
巻: 126 ページ: 3417-3432
10.1172/JCI85880.