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2015 年度 実施状況報告書

水田土壌からの亜硝酸ガス発生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K21372
研究機関国際基督教大学

研究代表者

峰島 知芳  国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20550198)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード亜硝酸 / HONO / ダイナミックチャンバー / フィルターパック / 土壌 / 水田 / 発生 / 大気
研究実績の概要

亜硝酸ガス(HONO)は、人体に有害な光化学オキシダントを生成するヒドロキシルラジカル(OH)の主要な前駆物質であると同時に、HONO自体が健康に悪影響を持つ非常に重要な物質である。それにも関わらず、その発生源の全貌が未解明である。私は、土壌、特に、窒素施肥量が多く、抜水により、窒素の化学形態が一気に硝酸態へと変化する水田土壌を研究対象とした。室内のポット試験で水田土壌からのHONOの発生係数を計測し、HONO発生の経路が化学平衡経由か微生物経由か、それらの割合を明らかにする。また、水田抜水時のN2O, HONO, NOの発生タイミング、発生量について明らかにする。その為に、まず、水田土壌を採取し、ポットを設置し、HONOの発生を確認した。HONOの発生には、温度、土壌水分量、pH、土壌中の亜硝酸態窒素、硝酸態窒素、アンモニア態窒素の量が関係していると考えられる。アンモニア態窒素の量がHONOの発生量に正の影響を与えると考えた為、窒素施肥量を変化させてみたが、予想した効果はえられなかった。
また、菌叢の塊である活性汚泥を用い、条件をコントロールしやすい室内に於けるポット試験を行い、HONOが発生しやすい条件を探った。これは、土壌よりも、活性汚泥のほうがHONOを発生させるメカニズムが、化学的なプロセス、また、生物的なプロセスによるものか明らかにしやすいと考えた為である。そのため、菌を滅菌した状態で、HONOの発生量を調べた。その結果、HONOの発生量は著しく減少し、生物的なプロセスが主な要因であることがわかった。また、生物的なプロセス中、硝化細菌によるHONO発生量と脱窒細菌によるHONO発生量の比較を行った。硝化細菌の好む好気条件、脱窒細菌の好む嫌気条件と、条件を変化させた場合のHONO発生量の変化を調べた。その結果は、追実験を行っているところであるが、学会で発表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水田土壌のみを用いることでなく、活性汚泥という実験対象を用いたことから、系の取り扱いがシンプルになり、操作が簡単になった。 その結果、来年行う予定であった、化学過程と生物過程の比較を平成27年度に行うことができた。HONO以外のN2O、NOについては、今年度は計測を行わなかった。

今後の研究の推進方策

好気条件では硝化細菌が活発で、嫌気条件においては脱窒細菌が活発である。いずれの菌がHONOの発生に寄与が大きいかを確認する為の再実験を行う。温度を変えて、温度に対するHONO発生量の応答を検討する。 また、N2O、NOの発生について、計測する。

次年度使用額が生じた理由

ゼロガス発生器を購入する代わりに、NOx計を購入したことと、実験補助員を雇用しなかった為。

次年度使用額の使用計画

学会参加費、データロガー、ポンプ、エアポンプ等の購入に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Measurements of nitrous acid (HONO) direct emission from rice paddy soil and its contribution to atmospheric HONO2015

    • 著者名/発表者名
      Chika Minejima, Ray Nakane, Kojiro Shimada, Shohei Riya, Keiichi Sato, Masayuki Ohyama, Akihiko Terada, Masaaki Hosomi
    • 学会等名
      The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2015 (The Pacifichem 2015 meeting)
    • 発表場所
      Hawaii, USA
    • 年月日
      2015-12-15 – 2015-12-20
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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