研究実績の概要 |
社内企業家の育成にかかる研究については、科研費の助成を受けたことで独自のインターネットサーベイから、その実態の概要を掴むことができた。その報告論文として川上(2019)を公表した。大企業における新規事業の参入において社内起業家組織の硬直性に直面していること、中小企業では資金制約が課題となっていることがわかった。 一方、社内企業を担う人材育成の手段の1つとして注目される副業については、慶應義塾大学のパネルデータからそのスキル向上効果を分析したKawakami(2019)を発表した。副業を通じたスキル向上効果は本業の職業や雇用形態に依存している。その中で特に分析的な職業においてその傾向が見られたことから、イノベーション・社内企業に対して補完的な市議との形態であることが示唆される。これは、日本経済学会で報告し、英文査読誌に掲載されたものである。また、企業多角化への影響としての本社機能の役割を川上(2019b)でRIETI Discussion Paperに掲載された。本社機能は多角化されている企業においてはその規模が大きいことが示されるが、ダイナミックな変化においてはその規模ではなくその効率性に依存していることが示された。 Kawakami, Atsushi (2019) "Multiple job holding as a strategy for skills development", Japan and the World Economy, 49, pp.73-83. 川上(2019a)「日本の社内起業の実態―インターネット調査「新規事業参入に関する調査」で把握する特徴―」『経済論集』 44(2), pp. 121-143. 川上淳之(2019b)「多角化の資源としての本社機能」RIETI Discussion Paper Series, 19-J-061.
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