本研究では、「イスラーム的価値観に則った観光活動」としてのイスラミック・ツーリズムの発展を、市場規範形成を促進する中間支援組織に着目して分析する研究であった。特に、宗教規範に基づいた観光活動の推進という社会的目的と、市場経済における継続的な経済的採算の担保という2つの目的を同時に満たす「社会的企業」としての側面を強く持っている点を明らかにした。さらに、これらの中間支援組織の発展と、彼らを中心としたネットワーク形成は、市場内の社会的目的と経済的採算をめぐる様々な軋轢を生み出してきた。しかし、それらの軋轢を解決する合意形成の場としてもこれらの社会的企業が機能している点も明らかにした。
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