研究課題
平成29年度は、前年度に分析・学会発表を終えていた個人の社会経済状況と口腔の健康状態の関連に関する成果を、英語論文として国際学術誌に投稿し受理された(下記(2)、(3))。前年度に分析を開始した個人のソーシャルサポートと口腔の健康・歯科受診の関連は、英語論文として現在まとめており、まもなく国際学術誌に投稿できる見込みである(下記(4))。地域の環境要因に関し、データベースの作成、個人のデータベースとの突合を終えたものの、口腔の健康状態・歯科保健行動は地域によるばらつきが小さく、慎重に分析・結果の解釈を進めているところである。3年間の本研究期間を通し、都市部居住の労働世代の地域住民を対象に、(1)成人期の社会経済状況とは独立して幼少期の社会経済状況が成人期の口腔健康と関連する、(2)女性における社会経済状況と口腔健康の関連は複雑であり、独身女性では本人の教育歴が関連する一方で、既婚女性では世帯所得なかでも配偶者の所得が口腔の健康と関連する、(3)ソーシャルサポートと歯科受診の関連は、治療受診では関連がみられない一方で、ソーシャルサポートの高い者ほど予防受診をするという関連が男性でのみみられる、の3点を明らかにした。また、日本国民を代表する集団を対象に、(4)教育歴および等価世帯支出と歯の本数は関連する、考え得る行動学的・生物学的要因(喫煙習慣、肥満、糖尿病、高感度C反応性蛋白、歯科清掃用器具の使用)のみでは関連の全ては説明できない、等価世帯支出と歯の本数の関連は年齢層による違いが存在し高齢者でのみみられる、ことを明らかにした。以上の研究成果を通し、日本の地域住民における社会的要因と口腔の健康状態・歯科保健行動の現状を明らかにすることで社会的要因を考慮する必要性を示すとともに、現在のみならず幼少期の状況および社会的性差に留意したアプローチの重要性を示唆したといえる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
Journal of Epidemiology
巻: 28(Supplement_III) ページ: S59-S65
10.2188/jea.JE20170247
巻: 28 ページ: -
10.2188/jea.JE20170088
BMC Public Health
巻: 17 ページ: 903
10.1186/s12889-017-4912-5