研究課題
先天性腎尿路異常を呈する兄弟を含む5人家族から原因遺伝子同定を目的に研究を行っている。まず家族全員にエクソーム解析を行い、患者特異的にCBWD1のexon1が欠損していることを発見した。次に同部位を挟むようにプライマーを設計し、PCRを行い患者特異的にバンドが欠損することを確認した。次にCBWD1が腎臓発生に重要な役割を果たしているか証明するためにマウス胎仔の腎臓切片を用いて免疫染色を行った。腎臓は後腎間葉と尿管芽の相互作用によって発生し、両者の機能が重要である。免疫染色により、Cbwd1はE13.5から尿管芽に発現し、徐々に尿管芽由来の細胞に発現が増強してくることを見出した。尿管芽細胞の中では核内に発現しており、尿管芽に発現する腎臓発生に重要な転写因子Gata3と共局在することを連続切片作成により明らかにした。またCbwd1ベクターを作成し、Gata3と生化学的に結合することを、HEK293T細胞を用いて証明した。最後にCbwd1のノックアウトマウスを兵庫医科大学遺伝学教室大村谷昌樹先生に依頼し、CRISPR/Casを用いて作成していただいた。そのマウスを受け取り、東京大学生命科学実験棟において飼育を開始した。現在heteroマウス、homoマウスを飼育しその解析を行っている。heteroマウス×heteroマウスで解析を行っているが、出生してくるhomoマウスが1/10程度とメンデルの法則から外れて少ないこと、heteroマウスのうち1/10程度の頻度で水腎症が認められることなどが明らかになっている。現在は結果を集積整理している。以上よりCBWD1が腎臓発生における重要な遺伝子であることが少しずつ明らかとなっている。結果を整理し論文報告の準備を進めている。さらにCbwd1に関する論文はほとんど存在せずその機能は未知である。細胞内における役割を今後明らかにしていく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Pediatric Nephrology
巻: 32 ページ: 713-717
doi: 10.1007/s00467-016-3552-9
Pediatric Transplantation
巻: 20 ページ: 467-471
doi: 10.1111/petr.12690
腎と透析診療指針
巻: 80 ページ: 431-434