研究課題
1. 器質的心疾患に伴う心室脱分極・再分極過程の検討器質的心疾患に伴う心室脱分極・再分極過程の検討を行った。本研究は平成19年からのベクトル合成187チャネル高分解能心電計(DREAM-ECG)を用いた前向き観察研究である(東京女子医科大学臨床研究課題倫理委員会承認番号;2036)。前年度に引き続き、突然死一次予防目的に両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRTD)植込み術を施行した非虚血性心不全患者103例を対象に、植込み型除細動器(ICD)の作動と心電学的指標との関連性に関する検討を行った。CRT前の心室遅延電位によるfiltered QRS(fQRS)に比してCRT1週間後のfQRSが短縮したnarrowing fQRS例(n=53)では、non-narrowing fQRS例(n=50)に比して死亡率が有意に低かった。頻脈性心室不整脈の発現率は、narowing fQRS例で低い傾向であった。CRTを施行する際にはfQRSを短縮するための方策が、致死性不整脈の予防につながる可能性が示唆された。2. 心室脱分極および再分極指標と不整脈イベントに関する前向き観察研究平成27年9月1日より「日本人心不全患者における予後、心血管イベントに関する前向き観察研究」として前向き観察研究を開始している(東京女子医科大学臨床研究課題倫理委員会承認番号;3561)。対象は、東京女子医科大学循環器内科において心不全の診断で入院し、本研究への参加同意が取得できた心疾患患者である。調査項目には、心室性不整脈の有無とともに、12誘導心電図での基本調律・心拍数・QRS時間・QT時間、DREAM-ECGでのRT dispersion・Tp-e dispersion・Late potential・T-wave alternansがある。引き続き症例の蓄積と追跡調査を行っていく。
2: おおむね順調に進展している
1. 器質的心疾患に伴う心室脱分極・再分極過程の検討CRTD植込み術を施行した高リスクの非虚血性心疾患患者を対象として、詳細な検討を行い、CRTによる治療効果と不整脈イベントの予測に結びつく解析結果が得られた。2. 心室脱分極および再分極指標と不整脈イベントに関する前向き観察研究平成27年9月1日より「日本人心不全患者における予後、心血管イベントに関する前向き観察研究」を開始している(東京女子医科大学臨床研究課題倫理委員会承認番号;3561)。平成29年3月31日現在までに、466例の対象患者が登録されている。
1. 器質的心疾患に伴う心室脱分極・再分極過程の検討心疾患に対する非薬物治療のみでなく、薬物治療の効果も含めた詳細な検討を継続して行う。2. 心室脱分極および再分極指標と不整脈イベントに関する前向き観察研究「日本人心不全患者における予後、心血管イベントに関する前向き観察研究」を継続して実施する(東京女子医科大学臨床研究課題倫理委員会承認番号;3561)。本研究のデータをもとに、基礎心疾患による各心電学的指標についての違いを検討する。また、心室性不整脈の有無による各心電学的指標との関連性について患者背景を含めて詳細に検討する。
旅費の減額があり、次年度使用額が生じた。
DREAM-ECGを用いた前向き観察研究を継続して行うとともに、疾患別や病態別のデータ解析を行い、結果を学会等で積極的に公表し、さらに論文作成を行う。次年度使用額は、学会発表のための旅費や論文作成のための費用に充てる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 1件) 図書 (4件)
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