本研究では、近代東京を中心とした明治・大正・昭和前期の邸宅・別荘に営まれた近代和風庭園を対象に、その立地、意匠、築造を担当した庭師の作品性と作庭活動を明らかにすることを目的とした。研究の結果、以下のことを明らかにすることが出来た。明治期東京の一万分の一地形図を分析したところ、224邸宅のうちの180邸宅が眺望に優れた場所に立地するという知見を得た。近代数寄者の営んだ庭園は那須塩原の自然風景をモチーフとすることが多く、崖の造園処理として採用された意匠は滝石組とするものが多いことが分かった。顕著な活躍をした庭師には、4代岩本勝五郎、2代松本幾次郎、松本亀吉、柴田徳次郎らを挙げることができる。
|