研究課題
本研究の目的は申請者らが見出した、AMPK-GSK3複合体が協調して両者の共通の基質に対してどのように活性制御を行っているか解析することにある。共通する基質のうち、特にグリコーゲン合成酵素であるGSの活性の制御にとってこれらのAMPK-GSK3複合体を形成することが重要であるかどうか解析を試みた。GSはグリコーゲンに局在しており、AMPKもグリコーゲンに結合できることが知られている。そこでグリコーゲンに局在できないAMPK変異体を作成し、GSK3がGSに対するリン酸化修飾を解析したところ減少していた。また、AMPK変異体とGSK3の複合体形成も減少していたことから、GSK3がGSをリン酸化する上でAMPKとの結合が重要であることを新たに見出した。また、AMPKがグリコーゲンに局在すること自体がGSK3と複合体形成をするうえで重要であることも示唆された。前年度にAMPKのサブユニットであるβサブユニットのC末端の配列とGSK3が結合することを見出した。そこでβサブユニットのC末端を変異させ、GSK3との結合ができない変異体をHepG2細胞に発現させ、GSに対する影響を確認したところ、GSK3によるGSのリン酸化状態が減少することが示された。しかしながら、HepG2細胞中のグリコーゲン量の変動までには至らなかった。AMPK-GSK3複合体の共通する新たな基質として、MAP1Bを見出し、in vitroにおいてAMPKがMAP1Bをリン酸化すること、リン酸化部位の同定を行った。さらに、細胞中においてもMAP1BはAMPKによってリン酸化されることを見出し、このリン酸化の変化によって細胞中の微小管の再形成に変化が有ることを見出した。GSK3もMAP1Bの別の部位をリン酸化することから、AMPK-GSK3複合体がGSのみならず、他の基質にも同様に影響をあたえることを見出した。
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日本食生活学会誌
巻: 27 ページ: 101-108
10.2740/jisdh.27.101
巻: 27 ページ: 49-56
10.2740/jisdh.27.49