最終年度は、複数色LEDアレイを用いたDCSK方式を基盤として、通信機能に特化させた方式(I)、照明機能に特化させた方式(II)ついて検討を行った。このDCSK方式の詳細については前年度の研究実績を参照して頂きたい。 方式(I)として、(I-a)「DCSK方式を用いた空間変調技術」の提案を行い、従来のDCSK方式に比べてより高い周波数利用効率が達成可能であることを示した。さらに複数ユーザへの同時通信による大容量化に着目し、(I-b)「オンオフ信号形式型疑似雑音符号を用いたDCSK方式」の提案を行った。本方式では、疑似雑音符号にM系列から生成したオンオフ信号形式型の直交符号を適用することで、複数ユーザへの通信時も全LEDはオンオフ駆動のみで動作可能であり、LED非線形発光による性能劣化を大幅に改善可能であることを示した。 方式(II)として、(II-a)「パルス振幅変調とパルス幅変調を融合した調光(明るさ)制御法」、(II-b)「調色(照明の色味)制御法」、(II-c)「複数色LEDアレイ光源面における偏色軽減法」の提案を行った。(II-a)の成果として、調光の表現可能な段階数と通信時の周波数利用効率を通信環境に応じて適応的に制御可能となった。(II-b)では、DCSK信号点配置によって照明色の色温度を柔軟に制御可能であることを理論・実験の両面から示した。また、色の質についても評価し、より適したLED色について示した。最後に、(II-c)では、送信情報とLEDアレイ間のマッピング法について検討し、サイクリックマッピング方式を適用することで、LEDアレイ面での色の偏りを大きく軽減することに成功した。 以上より、最終年度の研究実施計画で挙げた(1)「DCSK方式を用いた大容量通信実現」と(2)「DCSK方式の照明品質向上」についてほぼ計画どおり進展することができた。
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