研究課題/領域番号 |
15K21403
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
栢木 まどか 東京理科大学, 工学部, 准教授 (10453820)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 台湾 / 台南 / 末廣町店舗住宅 / 梅澤捨次郎 / 鉄筋コンクリート造 / 集合住宅 / 日本統治期 |
研究実績の概要 |
本年度は研究対象都市を中国・大連、台湾・台南とし、鉄筋コンクリート造集合住宅の背景把握と事例収集を進め、現地調査を行った。大連における鉄筋コンクリート造集合住宅事例である大連連鎖商店街について、これまでの成果を日本建築学会大会にて発表した。 台湾調査の事前準備として、台南の日本統治期における鉄筋コンクリート造集合住宅事例である旧林百貨店及び旧末廣町店舗住宅(設計:梅澤捨次郎)について、雑誌掲載の設計図面の詳細分析を行い、店舗部分及び住居部分の設計について、それぞれ設備、間取りなど特徴を整理した。店舗部分には業種に関連したショーケースや倉庫、治療室などが設計されており、設計段階で入る店舗が決まっていたこと、またそれに合わせた個別設計が行われていることを確認した。住戸部分では、鉄筋コンクリート造建築ながら、畳敷きの和室の設えが標準的であり、広さに合わせ四畳半から十畳まで、続き間も含め設計されていた。和室には押入れが附属し、表の通りに面する側には縁側空間が標準的に設計されていた。 その後、実際に復原整備工事が完成した林百貨及び旧末廣町店舗住宅を調査した。林百貨では、旧林百貨店時代の内装の復原、また柱等のデザインが踏襲、復原されていることを確認した。店舗住宅部分では、建設当初の内装が残る住戸内の調査を行い、仕上げ、間取り、内装について確認した。和室押入れは吹き寄せの横桟がデザインされた板戸であった。通り側の縁部分は、板張りの床、竿縁天井で、窓上の飾り窓が直接外気に接するかたちで設けられていた。その他、立面について、現在における改装、増築の状況の確認、また設計図面との相違部分について確認した。台南においては、日本統治期より残る西市場について、市場建築と同時に建てられた住居部分の調査も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね、当初の計画通りに進行している。本年度は台湾・台南を中心に現地調査を行った。当初計画では台北においても事例収集を行う予定であったが、残念ながら現地で研究対象建築を確認出来ず延期としている。次年度、中国・大連における調査を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、台湾、韓国、中国の各対象都市における鉄筋コンクリート造集合住宅の背景把握と類型化、事例収集を進め、それを踏まえた現地調査を行う。韓国においては、現存する対象建築を確定出来ておらず、引き続き残存状況について事前調査を進めたいと考えている。また、同時期の鉄筋コンクリート造建築の技術的特徴、構法等について、日本における建築事例との比較も進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に国内出張を予定していたが、学務により取りやめたため、予算が一部消化しきれなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降のその他費用に追加して使用予定である。
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