公共施設再編を始めとする総合的な計画策定において、GeoDesignの手法を取り入れたコミュニケーションプロセスに関する研究を国際的に発信した。アセスメントのプロセスにおける科学性と民主性の担保において、代替案の評価結果と選択結果に関する合意形成が課題となっているが、GeoDesignのプロセスは簡易的な評価を住民と専門家が協働によって行うことで、より最適化された計画案を参加者の発意のもとで理解し、選択するプロセスを実現していたと考えられる。とりわけ、多様な価値観を持ったグループを設定しそれぞれにとっての部分最適を発見した上で、ネゴシエーションのプロセスを持つことによって、全体としては多角的な評価視点をもった総合的なアセスメントを可能にしていた。 GeoDesignの応用は地理情報システムを用いた、影響評価プロセスにおけるコミュニケーションを支援システムとして考えられるが、さらに恒常的にオンラインでプロジェクトを共有するシステムでもあるため、広くまちづくり活動や自治においても応用されうる。Civic Techの社会実装が加速度的に進む中、アセスメントプロセスにおいてのみならず、GeoDesignのシステムや方法論が社会的意思決定にどのように反映されていくか、社会実装の可能性については今後の研究課題である。 昨年度は上記の研究成果について、国際影響評価学会年次大会および国際地域科学会アジア大会において研究成果を報告し、国際影響評価学会においてはポストプロシーディングスがすでに発行されている。
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