研究課題/領域番号 |
15K21409
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
淺見 拓哉 日本大学, 理工学部, 助手 (60706571)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超音波 / 振動 / 接合 / 溶接 / 金属 / 軌跡 |
研究実績の概要 |
薄板の異種金属を接合する有効な方法の一つとして超音波接合法が挙げられる。超音波接合法は,接合対象に均等な静圧力と振動源により超音波振動を加えることによって接合する方法である。超音波接合法は,熱を用いない方法であるため融点の異なる異種金属の接合が容易に行える方法である。本研究では,振動エネルギーが増大し,接合強度の向上が考えられる縦振動とねじり振動を組み合わせた面状軌跡の振動を用いた超音波接合法の開発を目的としている。平成27年度は,本提案手法に用いる振動源の作成を行い,その振動源の基礎的な振動特性について検討し,面状振動軌跡を得られることを明らかにしている。平成28年度の研究実績は下記の通りである。 1. 接合チップを装着した振動源の作成及び振動特性 まず,接合対象に対して面状振動軌跡を加えるために必要な接合チップの作成を行なった。接合チップは,接合対象への損傷を低減するため,球面形状(SR50)で直径10 mmを採用した。接合チップを昨年度に作成した振動源に装着し,振動特性の測定を行なった。その結果,30 kHz程度の縦振動と20 kHz程度のねじり振動を個別に制御出来ることを明らかにし,また100 平方μm程度の面状振動軌跡が得られることを明らかにした。 2. 面状振動軌跡による異種金属の接合特性 ここでは,異種金属として銅板とアルミニウム板の接合を行い,種々の条件による接合特性の検討を行なった。その結果,面状振動軌跡を用いることにより,接合強度が向上することを明らかにした。また,接合強度は,面状振動軌跡を用いることで,従来の線状振動軌跡より低い静圧力で大きな値を得られることがわかった。また,接合強度は,面状振動軌跡の面積が大きいほど,大きくなることが明らかになった。面状振動軌跡による接合強度は,静圧力500 N,接合時間3秒間において,約700 Nとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究計画としては,面状の振動軌跡による接合原理に解明を目的として,種々の条件による接合特性を明らかにすることであった。しかし,接合原理を明らかにするまでの測定を行なうことが出来なかった。その理由としては,接合時の振動制御を行なうための装置等の準備に遅れが生じたためである。しかしながら,測定を行った範囲の異種金属の接合特性より,面状振動軌跡の有意性を明らかにし,また本年度明らかにした結果をまとめたものを論文として投稿し,2件の掲載が決定している。そのため総合的に見て順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終的な目標は,面状の振動軌跡を用いた超音波接合装置の実用化である。その目標のために,平成29年度は以下の検討を行なう予定である。 1. 種々の条件による接合特性より接合原理の解明 種々の条件による接合を行い,接合部の状態を観察することで接合原理の解明を行なう。具体的には,振動源の振動と接合対象の振動を観察,及び接合界面の観察をすることで,接合強度との関係を明らかにする。 2. 超音波接合装置の開発 上記と並行して,超音波接合装置の開発を行なう。加圧の制御,及び試料の固定方法を簡便にすることを考えている。具体的には,加圧機構にエアシリンダを用いること。また,試料の固定にアンビルを用いることを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議の参加のための旅費を別予算にて支弁することが出来たため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、アメリカ・ワシントンで開催される2017 IEEE International Ultrasonics Symposiumへの参加費等への使用を計画している。
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