研究課題
インターフェロン(IFN)γは細胞性免疫応答において中心的な役割を担うサイトカインである。魚類には、哺乳類と相同なIFNγに加え、魚類特有のIFNγ (IFNγrel)の存在が知られている。申請者はこれまで、コイ科魚類のギンブナにおいて、4つのIFNγアイソフォーム(IFNγ1、IFNγ2、IFNγrel 1、IFNγrel 2)が存在すること、さらに、IFNγrel 1及びrel 2は既知のIFNγと異なる作用機序ではたらく、新規IFNであることを明らかにしている。本研究は、1)IFNγrel 1及び rel 2の受容体を同定し、IFNγrelが脊椎動物における新規IFNであることを証明すること、2)IFNγrel 1及び rel 2の標的細胞を同定し、細胞性免疫におけるIFNγrelの機能を明らかにすることの2点を目的とする。本年度は以下のような成果を得た。1)IFNγrel 1はクラスIIサイトカイン受容体ファミリーである、Crfb5およびCrfb17と結合した。また、Crfb5及びCrbf17を強制発現させたギンブナ細胞株に対し、組換えIFNγrel 1処理を行ったのち、IFNγrel 1誘導性の遺伝子発現を調べた。その結果、Crfb5及びCrbf17強制発現細胞株で、遺伝子発現が優位にが増加した。これらのことから、IFNγrel 1の受容体はCrfb5及びCrfb17であることが明らかとなった。2)各IFNγアイソフォームの組換え体を投与したのち、細胞性免疫が重要な役割を担う、鱗移植試験を行い、拒絶にかかる時間を調べた。その結果、組換えIFNγrel 1投与により、移植片拒絶反応が促進された。このことから、IFNγrel 1が細胞性免疫を賦活化する機能を持つことが明らかとなった。
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