研究課題/領域番号 |
15K21413
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
新井 雅之 日本大学, 生産工学部, 准教授 (10336521)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高電磁環境 / 多重過渡故障 / オンラインマスク |
研究実績の概要 |
前年度に実施した,小規模回路に対する双対近似回路の有効性の評価から,双対近似回路では多重過渡故障に対して充分なマスク性能を発揮できない可能性があることが明らかとなったため,デバイスレベル,およびシステムレベルのマスク技術を補完的に組み合わせることを検討し,本年度は主にデバイスレベル,システムレベルの各要素技術について検討を進めた.本年度は,主に,(a)クリティカルエリアを考慮した故障検出に対する高速テストパターン生成法,(b) 高電磁環境下での耐ノイズ性を考慮したネットワークおよびLSIの設計および評価法,および(c)スマートグリッド通信における耐故障データ集約,の3点について研究を進めた. (a)に関しては,これまで故障シミュレーションと貪欲法を用いた探索によってO(n^2)の計算量を必要としていたテストパターン生成アルゴリズムを改善し,ウインドウベースの絞込みによってO(n)の計算量を達成しつつカバレージ低下を抑制するアルゴリズムを提案した.成果を国際会議にて発表し,また2017年中の論文誌採録が決定した. (b)に関しては,宇宙環境での民生機器の使用を想定し,キャッシュメモリ多重化手法の性能・信頼度トレードオフモデルについて検討した.また,アンバイポーラ素子を用いたLSIの耐故障設計手法について検討を進めた.国内研究会,国際会議にて発表を行った. (c)に関しては,セキュリティ・プライバシーを考慮しつつ,スマートメーターの故障やノイズによる通信障害が発生しても電力使用量データ集約を可能とするプロトコルについて提案した.国内研究会にて発表し,2017年度中の国際会議発表に採録決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に実施した,小規模回路に対する双対近似回路の有効性の評価から,双対近似回路では多重過渡故障に対して充分なマスク性能を発揮できない可能性があることが明らかとなったため,デバイスレベル,およびシステムレベルのマスク技術を補完的に組み合わせることを検討し,本年度は主にデバイスレベル,システムレベルの各要素技術について検討を進めた.各要素技術は,それぞれ単体で信頼度改善に寄与することを評価実験により示した.今後,これらの手法を組み合わせることにより,当初想定したレベルの信頼度を達成することが可能であると期待できる.また,提案手法の評価に向け,性能・コスト・信頼性のトレードオフを考慮した評価指標についても策定した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえ,デバイスレベル,回路レベル,システムレベルの耐故障設計技術を適切に組み合わせた多重過渡故障オンラインマスク手法について検討を進める.性能・コスト・信頼性のトレードオフを考慮した評価指標に基づいて,実用規模の回路において所望の正常動作率を達成するための最適冗長構成法について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の国際会議出張における出張旅費・学会参加費精算における為替変動
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次年度使用額の使用計画 |
予定している国内・海外出張旅費の一部として適切に執行する.
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