研究課題/領域番号 |
15K21420
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
田中 愛 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (10508534)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学生間相互評価 / 評価キーワード / <できる> / 公平性 / ゲーム性 / 安全性 / ユニバーサルデザイン / 身体 |
研究実績の概要 |
当初の計画は以下の通りであった。(1)アダプテッド・スポーツ各種目の教材的意義の検証、(2)ユニバーサルスポーツ学習プログラムの作成・試行・改良、(3)教育効果の検証方法の検討。 (1)については、風船バレーボールについての調査・試行のほか、シッティングバレーボールに関しては競技者をゲストに迎えた授業実施を行い検討を進めた。しかし、競技者へのインタビューについては計画通り実施することができなかった。 (2)については、当初計画通り2授業を対象にプログラム実施とその評価を試行した。 (3)に関しては、評価法の検討として授業前・授業後の記述内容の分析のほか、中間・期末における「学生間相互評価」を実施した。また、成果の一部を「大学体育における評価方法の再検討―学生間相互評価の可能性―」と題し学会にて口頭発表を行った。この過程で次の3点が確認された。すなわち(a)事前調査と事後記述(レポート)を組み合わせた、個人の学習成果を評価する方法(b)中間期に学生間相互評価を行うことによって個々の学びを深める方法(c)「評価キーワード」を用いた終了後の相互評価。以上の3つの評価を組み合わせることによって、より授業の実態に即した参加型の評価の有効性を確認することができた。 また、プログラムの目的の一つとして掲げた「身体の多様性への理解」に関しては、前年に引き続き現象学的観点からの考察を行っている。とくに「身体的可能感」から「できる」の構造を探ることによって、「できる」が3種類あることが確認された。この構造が明らかになることによって身体の多様性についてさらに一歩踏み込んだ議論ができると考えられる。また、質問紙では測ることのできない「今ここ」での「できる」は、対象化されて「できる,できない」と答えるものではなく、私が対象と向き合うその向き合い方の一つであるという結論が導き出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り2授業を対象にしたプログラム実施及び評価を試行することができた。また、アルバイト補助者や研究協力者を十分に確保することができ、プログラム実施にあたり動画データや文書による記録を蓄積し、それらに検討を加えることができた。 また、研究テーマに関わって、原著論文2点、口頭発表2回の成果を残すことができた。 ただし、当初計画にあった競技者へのインタビューについては、期間内に統括団体から許可を得ることができず、次年度に繰り越しとなった。(本書類提出時点で許可を得ている。)
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今後の研究の推進方策 |
当年度に実施できなかった競技者へのインタビューについては、統括団体からの許可が下り次第優先的に実施する。また、次年度は最終年度であるため、当初計画に基づいて「評価法の確立」に重点を置いて実施していきたい。とくに今年度得られたデータをもとにプログラム評価法の最終的な検証を行う。平行して、成果を公表するため国際学会での発表および国際誌への原著論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
シッティングバレーボールの教材的意義を検討するにあたり、競技者7名へのインタビューを予定していたが、年度内に統括団体の長から許可を得ることができず、次年度繰り越しとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本書類提出時点で上記インタビュー許可が下りたため、現在優先的にインタビューを行っている。インタビュー謝金および会議費・交通費として次年度使用額の全額を使用する見込みである。
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