研究課題/領域番号 |
15K21426
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
土屋 陽祐 明治学院大学, 教養部, 助手 (20614473)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 伸張性収縮 / 筋損傷 / 運動単位 / 横緩和時間 |
研究実績の概要 |
本研究は伸張性収縮(ECC)による筋損傷の原因解明および繰り返し効果のメカニズム解明を目的とした。本年度は、筋損傷が引き起こされる原因の解明のため、ヒトを対象としてECCと短縮性収縮後(CON)の運動単位の動員と筋損傷の程度との関係を検討した。運動単位の動員の評価は磁気共鳴画像法(MRI)による横緩和時間(T2)を用いた。運動は等速性筋力測定装置(Biodex system3)を用いて、最大努力による肘関節屈曲を6回5セット、計30回負荷した。筋損傷の指標は、等尺性最大筋力、関節可動域、遅発性筋痛、筋横断面積(浮腫)、運動1日後以降のT2とした。ECCとCONは被験者のそれぞれの腕にランダムに負荷した。その結果、CON直後のT2の上昇はECC直後のT2の上昇よりも有意に大きかった。一方で、運動1日後以降の筋損傷の程度はECCの方が明らかに大きかった。このことは、ECCによる筋損傷は運動単位の動員が少ないことが原因の一つであることを示唆する。加えて、肘関節屈曲によるECCでは上腕二頭筋と上腕筋では筋損傷の程度が異なることも示唆された。次年度は表面筋電図を用いて、収縮中の筋活動も同時に評価し、筋の動員と損傷との関係をより詳細に検討する。さらに、繰り返し効果のメカニズムを解明するための実験も実施する。繰り返し効果は、ECCを数週間または数ヶ月あけて実施すると2回目のECC後の筋損傷が抑制されるという現象である。この効果についてはメカニズムが不明であるため、本年度行った実験の手法を用いて、1回目と2回目のECCによる運動単位の動員を比較する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度では、運動単位の動員の評価がMRIによるT2のみであり、計画していた表面筋電図による収縮中の筋活動を測定できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度得た知見をより深めるため、表面筋電図による収縮中の筋活動も評価する。あわせて繰り返し効果のメカニズム解明のための実験も実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入および旅費の使用が予定よりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に関わる消耗品および被験者への謝礼金として使用する予定である。また、データの公表に関わる費用としても使用する。
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