研究課題/領域番号 |
15K21427
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
関水 徹平 立正大学, 社会福祉学部, 専任講師 (40547634)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ひきこもり経験 / 自己定義 / 現象学的社会学 / 知識社会学 |
研究実績の概要 |
2016年度は、ひきこもり経験者の方6名(のべ10回)、支援者の方3名(のべ3回)のインタビュー調査を実施した。 5月には、早稲田大学にて開催された、III. Conference of The International Alfred Schutz Circle for Phenomenology and Interpretive Social Science(第3回国際シュッツサークル)にて、"The Problem of Supports for "Hikikomori" People: from Schutzian Perspective"というタイトルで、ひきこもり経験者の立場からみた支援の問題点(当事者の主観的QOLを軽視した支援の問題性)について報告を行った。 10月には、ソルトレークシティー(アメリカ)にて開催された Annal Conference of Society for Phenomenology and the Human Sciences にて、"Self-determination and Shared-determination in the support for 'Hikikomori' people" というタイトルで、研究成果を報告した。そこでは、ひきこもり経験者による「自己定義」のプロセスが自己決定を支えていること、そして自己定義は共同的な過程であることをインタビュー・データに基づいて論じた。 また、博士論文の成果に加えて半分の章(計5章)を書き下ろす形で、研究の成果を『「ひきこもり」経験の社会学』として刊行した(左右社、2016年10月、全396頁)。そこでは、ひきこもり経験が、家族主義的な福祉レジームという社会的文脈の中で生じていることを明らかにするとともに、家族の視点、当事者の視点、支援者の視点を区別しつつ、ひきこもり現象に迫ることの意義を、知識社会学的・現象学的視点を基礎としつつ論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー調査・分析ともに、比較的順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度中のなるべく早い時期に2名の調査協力者にインタビュー調査を実施し、これまでの調査結果とあわせて検討する。 研究成果は、まず、5月に福祉社会学会大会にて、ひきこもり経験者たちの当事者活動についての考察の成果を報告する予定である。 また、10月には、メンフィス(アメリカ)にて開催される Society for Phenomenology and the Human Sciences の研究集会にて、"Hikikomori Experiences and Utilization of Their Experiences: A critical analysis" というタイトルで報告を行う予定である。 上記2つの学会報告をふまえて、当事者発信の意義と課題について、研究成果を論文の形にまとめ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に購入予定だった図書の刊行が年度内の刊行でなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
新年度早々に昨年度購入予定分の図書を購入する。
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