研究課題/領域番号 |
15K21447
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 真理 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授(任期付) (00743212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 聞き手反応 / other-repetition / change-of-state tokens / 言い換え / L2話者 / インタビュー |
研究実績の概要 |
(1)データ分析 ①2016年に収録したデータの書き起こし、分析作業を行った。ただし、分析対象としたい現象が十分に収集できておらず、今後も継続してデータ収集および分析をすすめる必要がある。 ②日本語第二言語話者(L2話者)が日本人研究者にインタビューを行う場面の分析と論文執筆を行った。当初いわゆるあいづちと呼ばれる現象にのみ注目していたが、分析の過程で次の三つの観点が、聞き手の反応として重要ということがわかった。三つの観点とは、(1)相手の発話の一部の繰り返し(other-repetition)、(2)認識の変化を示すトークン(change-of-state tokens)、(3)相手発話の言い換え(rephrasing of an expression)である。分析では、インタビューの受け手(インタビュアー)となるL2話者が様々な反応の形式を用いながら、いかにインタビュアーとして適切に振舞っているのかを記述した。論文は書籍(Pragmatics & Interaction)の中の1章として2017年秋に出版予定である(柳町智治氏(北星学園大学)との共著)。
(2)データ収録:2016年に実施できなかったデータ収録を行った。データ収録に先立って、事前に福島県にある施設を訪れ、協力者への説明と場所の事前調査も行った(2017年2月9日)。データ収録は福島県郡山市の施設の利用者の協力のもと行った(2時間程度・2017年3月3日実施)。現在、データの整理中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
・データの不足:データ収集は予定通り福島で行うことができたが、協力者の都合等で、収録が3月になった。そのため、データの書き起こしは2017年度に行う。また、これまでのデータの中からは当初分析の対象としたいと考えていた現象が十分に得られておらず、引き続きデータ収集も行う必要がある。特にインタビューデータが不足している。 ・時間の確保:2016年8月まで産後休暇を取得していた。また保育園の確保などが難しく、特に休日に行われる学会や研究会への参加が十分に行えなかったため、研究の進捗にも遅れがでている。
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今後の研究の推進方策 |
・データの不足:聞き手反応が顕著に現れるインタビュー場面を収録する。疑似的に設定したインタビュー場面での模擬インタビューを行う予定である。協力者の一人にはすでに打診済みであり、今後日程調整を行った上で7月までにデータ収録をする予定である。さらに、分析対象について「うん」「はい」の反応に加え、2016年度に執筆した論文で言及した3つの観点((1)相手の発話の一部の繰り返し(other-repetition)、(2)認識の変化を示すトークン(change-of-state tokens)、(3)相手発話の言い換え(rephrasing of an expression))も加え、すでに収録したデータの中から、日本語母語話者がどのように用いているのかを明らかにする。 ・時間の確保:初期段階の粗い書き起こしについては外部に委託するなどし、分析に多くの時間を割けるようにする。2017年度より所属先を異動し、保育園の確保が可能となった。それによって、週末(特に土曜日)を含めた学会や研究会への参加および発表が行える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表、研究会などに参加できなかったため旅費が使われなかった。また、予定していたデータ収録についても予定よりも少ない予算の範囲内でのみ行った。 データが十分に収集できていないため、データお越しなどにかかる費用もかからなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
・デスクトップパソコンの購入:当初予定していなかったが、パソコンの購入が必要となっている。理由は、現在所有しているデータ分析用のパソコン(Mac book Air 2012年購入)が古くなっており支障が生じている。今後さらにデータ管理・分析を行うことが予想されるため、スペックの大きい機器をそろえる必要がある。 ・データ収集に関わる謝礼・旅費等:インタビューデータの収録を行う。協力者はプロ(またはセミプロ)のライター(インタビュアー)と取材に応じることが可能な研究者等(インタビュイー)を予定している。協力者への謝礼に加え、場合によっては旅費を支払う必要もある。 ・学会・研究会参加に関わる旅費等:今年度は研究成果を発表する予定である。研究発表は東京、新潟、福岡を予定している。研究会は東京、北海道、福岡を予定している。そのため、予定よりも多くの経費がかかることが予想される。
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