研究課題/領域番号 |
15K21447
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山本 真理 関西学院大学, 日本語教育センター, 准教授 (00743212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本語教育 / あいづち / 聞き手反応 / 相互行為能力 / 日常会話コーパス |
研究実績の概要 |
・データ分析:日本語母語話者同士60分×2組(合計120分)および、日本語の第二言語話者と第一言語話者60分×2組(合計120分)の会話の収録を行った。これに加え、現在、別プロジェクトにて構築中の日常会話コーパス(国立国語研究所)のデータの一部も用いて、分析中である。 ・研究成果の発表:1)2018年3月19日に国立国語研究所で行われたシンポジウム日常会話コーパスにて登壇し、山本(2016)で主張した「うん」「はい」の使い分けと同様の現象が日常会話の雑談場面においても観察される点を指摘した。今後更にデータ数を増やし、秋までに論文としてまとめる予定である。2)日本語第二言語話者(L2話者)が日本人研究者にインタビューを行う場面において、聞き手が様々な反応の形式を用いて有能に会話に参加していることを例証した。論文は、Pragmatics & Interaction: Vol. 4. Interactional Competence in Japanese as an Additional Language(2017年12月出版)にて発表された。3)L2話者のあいづちの使用を含めた「聞き手」としての振る舞いについて、相互行為能力(Young 1999、Hall 1999)という観点から分析を行った。分析では同一のL2話者が適切な位置において適切な形式を用いて反応を表示する場合と、適切に反応を表示できずL1話者が言い直すなど何らかのトラブルとして扱っている場合について検討した。その結果、前者の場合には、話し手であるL1話者の発話と身体的動作が、L2話者の反応を可能にする位置で明確に提示されている可能性があることがわかった。当研究成果については、2018年8月に開催される日本語教育国際研究大会にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属機関の異動に伴い、研究に割く時間が十分に確保できなかったため。研究期間の延長を行い、当初計画を完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)研究成果の発表:これまで明らかになった「うん」「はい」「うんうん」「はいはい」等の使い分けについて、学会での口頭発表、論文にて成果を報告する。 (2)日本語教育への貢献:聞き手反応のバリエーションの重要性を、相互行為能力という観点から論じ、学会などにおいて日本語教育関係者に広く知ってもらう。また、聞き手反応がいつどのようなタイミングで用いられているのか、実際のデータとともに示す。例えば、「うん」から「はい」に切り替わるのはいつか、「はい」ではなく「はいはい」があえて使われるのはいつかなど、学習者が理解できるよう実際のデータの書き起こしおよび音声とともにリスト化する。これらは、実際の日本語授業にて提示しインタビュー活動などに役立てられるものとなる。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動に伴い、予定していた発表、研究会への参加等が一部できなかったため期間延長を行った。最終年度となる今年度、学会発表および分析のための研究会への参加を行う。昨年度の残額をそのための旅費として使用する計画である。
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