研究課題/領域番号 |
15K21449
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
土屋 健司 創価大学, 理工学部, 助教 (70739276)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デオキシアデノシン / デオキシグアノシン / チミジン / バクテリア生産 / 安定同位体 / LC/MS/MS |
研究実績の概要 |
平成27年度はDNAを構成する全てのデオキシヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、チミジン)に関してDNAへの取り込み特性を評価した。実験に用いる試料は、夏季および冬季に、海域の代表として相模湾で、湖沼の代表として霞ヶ浦において数地点から採取した。試料に、窒素安定同位体(15N)で標識したデオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、チミジンを添加し、6時間~24時間程度培養し、細菌に取り込ませた。その後、Tsuchiya et al. (2015)の方法に従い、細菌DNA中に取り込まれた各デオキシヌクレオシド量を定量した。 その結果、相模湾では各デオキシヌクレオシドの取り込み特性は顕著な時空間変動を示した。最も岸よりの定点では、夏季はデオキシアデノシンの取り込み量が最も高く、次いでデオキシグアノシンの取り込み量が高かったが、冬季にはチミジン、デオキシグアノシンの順に高い取り込み量を示した。沖合定点においては、両季節共にデオキシグアノシンの取り込み量が最も高い傾向を示した。一方、霞ヶ浦では、両季節、全地点においてデオキシグアノシンの取り込み量が最も高い結果を示した。 以上のことから、これまで細菌生産の現場で良く用いられてきたチミジンに代わり、デオキシグアノシンを用いることにより、特に湖沼環境に於いてはより多くの種の生産を反映し、バクテリア群集全体の生産性評価の正確度がより高くなることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細菌に取り込まれた各15N標識デオキシヌクレオシドの取り込み特性を相模湾、霞ヶ浦の2つの生態系において、季節・空間的な違いを検出でき、平成27年度の計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度より続けている相模湾及び霞ヶ浦のでのマンスリーサンプリングを実施し、1年間分のデータを得る。得られたデータから、各デオキシヌクレオシドのDNAへの取り込み特性を評価し、最適なデオキシヌクレオシドとその組み合わせを明らかにする。 また、バクテリア群集組成や現場環境データの分析・解析を行い、群集構造や環境の違いによる取り込み特性の違いを考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
バクテリア群集構造解析の予算を積算していたが、当該年度に実施しなかったため、差額が生じた
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次年度使用額の使用計画 |
バクテリア群集構造解析に使用する
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