研究課題
本研究は、1.タペート細胞の時期特異的オートファジー制御によるイネの冷温障害緩和の検証、2.タペート細胞分解をモデルに組織再編成におけるプログラム細胞死(PCD)とオートファジーの関連性および制御機構の解明を目指している。本年度は、イネのオートファジー欠損変異体(Osatg7-1)及び、タペート分解制御の中心と想定されているbHLH 型転写因子変異体(eat1)を利用し、以下の3課題を中心に検証を進めた。(1)イネ出穂期の冷温ストレスにおけるオートファジー機構の解明:本計画では、オートファジー可視化マーカー(GFP-ATG8a)を複数の葯特異的プロモーターにより発現させ解析を進めているが、プロモーターの一部がストレスにより活性低下を受ける可能性が示唆され、オートファジー動態の可視化に一部問題が生じている。現在異なるプロモーターによる解析を進めている。一方、Osatg7-1では、花粉発達に必須な植物ホルモンであるジベレリン(GA)の低下が観察されており、GA添加による花粉回復効果の検証に関しては順調に進んでいる。(2) タペート細胞の時期特異的オートファジー制御によるイネの冷温障害緩和の検証:時期特異的オートファジー制御は、組織特異性の部分に関して当初計画に比べ解析が若干遅れている。プロモーター改変および新たに選抜したオートファジー制御化合物候補の検証を中心にさまざまな手法を試み、ストレス耐性付与の検証を進める予定である。(3) タペート細胞をモデルとしたオートファジーと転写ネットワークによるPCD相互関連性の検証:タペートにおけるオートファジー制御機構の解明に関して予想以上の進展を見せている。eat1におけるオートファジー動態の検証や、転写ネットワークによるオートファジー活性制御のメカニズムに関して、イメージングやオミクス解析を用いて進めており、順調に研究は進んでいる。
2: おおむね順調に進展している
タペート細胞におけるオートファジー制御機構の解明に関して予想以上の進展を見せている。一方、タペート細胞における時期特異的オートファジー制御手法の開発に関しては、組織特異性の部分で問題が生じており、当初の計画に比べ解析が若干遅れている。但し、プロモーター改変および新たに選抜したオートファジー制御化合物候補を用いた解析も進めており、おおむね計画通りに研究は進んでいる。
タペート細胞におけるオートファジー制御機構の解明は、人為的なオートファジー制御手法開発への重要な基礎的知見となるだけでなく、学術的に重要な発見が期待されることから、次年度も継続的に解析を進める。一方、難航しているタペート細胞における時期特異的オートファジー制御に関しては、プロモーター改変および新規化合物の検証を中心にさまざまな手法を試み、ストレス耐性付与の検証を進める。
2016年3月の出張経費が当初予定よりも少なかったため、旅費精算の結果、次年度への繰越予算が生じた。
本繰越予算(2,322円)とH28年度予算を併せ、次年度は実験試薬の購入・旅費・受託解析費・英文校正費等への支出を計画している。
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