研究課題
本年度は、イネのタペート分解制御の中心と想定されているbHLH 型転写因子変異体(eat1)及び、イネのオートファジー欠損変異体(Osatg7-1)、イネ葯特異的発現誘導を示す活性酸素種(ROS)生成酵素のゲノム編集による遺伝子破壊株を中心に、以下の3課題を中心に検証を進めた。(1)イネ出穂期の冷温ストレスにおけるオートファジー機構の解明:Osatg7-1では、葯の開裂異常を示し、花粉発達に必須な植物ホルモンであるジベレリン(GA)の低下が観察されていた。GA添加による相補検定を行った結果、部分的ながら花粉発芽能が回復する一方、葯の開裂への影響は見られなかった。一方、タペートにおけるオートファジー動態の可視化に関しては、タペート特異的プロモーターを複数用いることにより、葯の発達ステージ全体を通したオートファジー活性の評価が可能になった。(2)タペートのオートファジー制御によるイネの冷温障害緩和の検証:タペート細胞における時期特異的オートファジー制御に関しては、発現時期の異なる複数の組織特異的なプロモーターを利用することにより、予備的ながら成功した。併せて、温度ストレス耐性能の評価を進めた。(3)タペート細胞のオートファジーと転写ネットワークによるPCD相互関連性の検証:eat1におけるオートファジー動態の検証や、転写ネットワークによるオートファジー活性制御のメカニズムに関して、本年度はイネ葯特異的発現誘導を示すROS生成酵素のゲノム編集による遺伝子破壊株を用い、イメージング解析を進めた。期間全体を通して、複数のプロモーターを利用することにより、イネタペート細胞における時期特異的オートファジー制御が可能になり、葯におけるGA制御とオートファジーの重要性を明らかにした。併せて、タペート細胞における転写ネットワークとROSシグナルを介したオートファジー制御の可能性を示した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Euphytica
巻: 213 ページ: 1-12
10.1007/s10681-017-1846-z
Journal of Plant Research
巻: 130 ページ: 491-499
10.1007/s10265-017-0934-4
バイオイメージング
巻: 25 ページ: 31-31
Japanese Journal of Phytopathology
巻: 82 ページ: 281-282
Bioimages
巻: 24 ページ: 1-11
10.11169/bioimages.24.1