本研究は、良質な医療の提供を可能にするため、電磁環境面からの安全性および医療機器、情報通信機器、設備機器の電磁両立性の確保について、総合的に検討をおこなった。 〇LED照明による医用テレメータへの受信障害の検討:LED照明から発生する放射妨害波の時間・周波数特性を測定し、多くのLED照明から発生する電磁妨害波は医用テレメータの受信に対しては、ガウス性雑音として近似可能であることを明らかにした。本成果は学術誌(Przeglad Elektrotechniczny)への掲載とともに、国際学会を含む幾つかの学会・研究会にて報告した。 〇高速電力線搬送通信(PLC)の医療現場での導入の検討:医療現場におけるPLCの使用の可否を検証するため、実環境を模擬した電源環境において、PLC使用時の電磁雑音を測定し、さらに医療機器への影響について検討をおこなった。本成果は学術誌(医療機器学)への掲載とともに、国際学会を含む幾つかの学会・研究会にて報告した。 〇医療機関における無線LANの安全使用のための電波面からの検討:医療機関における無線LAN使用環境を模擬的に構築し、携帯型ゲーム機やモバイルルータなどの持ち込み機器により電波干渉が起こり得ることを実験的に確認した。また、実際の医療機関において無線LANの使用周波数帯の環境調査を実施し、現実的な干渉発生の可能性についても検討した。本成果は学術誌(病院設備)への掲載とともに、学会や研究会にて報告した。 〇医療機関の電波環境の総合的な測定・調査:大学病院の新病院の開院前後および築50年以上経過した都市部の中規模病院の閉院後に電波環境の調査をおこない、外来波や機器の稼働に伴う電磁雑音の影響について検討をおこなった。本成果は学術誌(Journal of Medical Systmes)への掲載とともに、国際学会を含む幾つかの幾つかの学会にて報告した。
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