本研究では、吸放湿性能を有する建築材料が室内の温湿度環境におよぼす影響を定量的に把握することを目的として、建築材料の湿気に関わる物性値(水分容量、水分伝導率)を同定する方法の提案・確立およびそれら物性値の整理、実測実験と数値解析の併用による、吸放湿性能を有する建築材料の評価(室内温湿度や暖冷房消費エネルギーにどのように影響するかなど)を勧めている。その中で、環境試験室による模型実験、吸放湿現象を考慮した建築の温湿度・熱負荷計算ソフトウェアによる数値解析に加え、実証住宅での実測実験などにより、建築材料の湿気に関わる物性値(水分容量、水分伝導率)を測定する方法(実験と数値計算の併用による同定/実験による推定)について、実測実験との比較によりその精度と妥当性の検証を進めている。実測実験と並行した数値解析では、湿気に関わる、建材の透湿抵抗値などが、潜熱負荷の10%近くを占めることを明らかにした。 また、現在開発を進めている「吸放湿現象を考慮した建築の温湿度・熱負荷計算ソフトウェア」の汎用性向上と普及のため、計算負荷の低減とユーザ支援システムの構築を行った。具体的には、ユーザ支援ツールとしてJavaのswingによるGUIを含めたソフトウェアの制作を行い作業の高効率化を図った。
|