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2016 年度 実施状況報告書

G0細胞におけるテロメア維持機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K21466
研究機関新潟薬科大学

研究代表者

山崎 晴丈  新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (20456776)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードテロメア / G0細胞 / 分裂酵母 / シェルタリン
研究実績の概要

分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの増殖細胞において,テロメアの維持に必須なシェルタリン複合体を構成する蛋白質(Pot1, Tpz1, Ccq1, Poz1, Rap1, Taz1)について,増殖細胞とそこから窒素源を枯渇して誘導したG0細胞での発現量の違いについて検討した。この実験はこれまでにも行っていたが,結果が安定していなかったため,再度検討を行った。S. pombeの野生型株である972株を形質転換し,すべての因子にFlagタグが融合されたものを発現する株を構築した。得られた菌株の増殖細胞とG0細胞を用意し,全細胞抽出液に対して,抗Flag抗体を用いてウェスタン解析を行った。その結果,1細胞中で発現していると考えられる蛋白質の量が,増殖細胞に比べG0細胞では,Pot1, Tpz1, Ccq1, Poz1, Rap1に関しては約1/4程度に減少していた。またTaz1は増殖細胞では発現が見られるものの,G0細胞では発現が極端に低下していた。これらの株を用いてクロマチン免疫沈降法を用いて,シェルタリン構成蛋白質がテロメアに局在している量を検討したところ,Taz1のテロメア局在がG0細胞で減少していることを示唆する結果を得た。これらのことから,G0細胞では増殖細胞と異なるテロメア構造を取っている可能性が考えられた。また同様の実験をウラシル要求性の株で行ったところ,G0細胞でのCcq1の発現が極端に低下していたが,細胞の生菌率に顕著な低下は見られなかった。これらのことから,細胞の栄養状態によってG0細胞のテロメア構造が大きく異なっている可能性と,G0細胞でのテロメア維持機構が増殖細胞と大きく異なっている可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

テロメア結合蛋白質のG0細胞の発現量の検討において,安定した結果が得られないのが,栄養要求性による違いがあることが分かり,その詳細について種々の細胞について検討するのに時間を取られたため,「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

栄養要求性によってテロメア構造に違いがあることを見出した点については,細胞の外環境の感知とクロマチンの構造との関連を示す重要な知見だと考えられるため,今後その点にも注意して研究を進めていく。またこれまでに,シェルタリン蛋白質の発現を,転写レベルと翻訳後レベルで制御できる株を作製し,G0細胞で特異的に目的蛋白質の発現を抑制する実験を行っていたが,転写を抑制する過程でウラシル合成に必須なura4+の発現が同時に抑制されているが明らかとなった。これによってG0細胞ではウラシル要求性になることから,この系ではシェルタリン蛋白質の発現量に影響を与えている可能性が考えられる。そのため,この系をウラシル要求性にならないような系に構築し直し,G0細胞でのシェルタリンのテロメア維持における役割について再検討する。またシェルタリンがG0細胞でテロメア維持に機能していない可能性を考慮し,新たにStn1-Ten1やKuといった,増殖細胞でのテロメア維持に必要な蛋白質についても,G0細胞でのテロメア維持に必要か検討を加える。G0細胞のテロメア維持に必要な蛋白質を見出した後,それに結合する新規因子を質量分析により同定して行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

予想外の結果について慎重に検討したため,想定していた実験を行うことが出来なかったため。

次年度使用額の使用計画

細胞を培養するための培地に10万円程度,蛋白質をG0細胞特異的に欠失させる系の再構築を行うのに必要なPCRプライマーや酵素に20万円程度,G0細胞のテロメア維持に必要な因子の同定のための質量分析に20万円程度,成果を学会で発表するための旅費に10万円程度,成果を論文として発表するための英文校閲料と投稿料に20万円程度を使用する予定。

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公開日: 2018-01-16  

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