研究課題
本申請課題の達成に向けて,次の項目1,2について研究を遂行した.1.大規模ニューラルネットワークの構築に向けた計算機環境の整備とベンチマークテストの実施:マルチコアなワークステーションに対して並列計算ライブラリを装備し,最大で数万個の下オリーブ(IO)ニューロンで構成されるニューラルネットワークの発火活動がシミュレートできることを確認した.2.少ない計算量で多様な発火パターンを再現できるLlinas ApproachニューロンモデルとIzhikevichニューロンモデルの特性評価:小脳運動学習機構は小脳皮質と小脳核,IO核から構成されている.この機構を実現するニューラルネットワークを構築するためには,Llinas ApproachニューロンモデルとIzhikevichニューロンモデルのような少ない計算量で多様な発火パターンを再現できるモデルが適している.そこで,本年度はこれらのモデルを用いて,ニューロンレベルでの発火活動やその信号応答性を評価した.具体的には,実際のIO核で存在が示唆されているカオス状態における発火活動の分析,数種類の特性の異なるシナプス結合を持ったニューロンに対する信号応答性の評価を実施した.これにより,これらのモデルのニューロンレベルでの基本特性を捉えることができた.1,2の成果に基づき,次年度は小脳型スパイキングニューラルネットワークの構築を実施する予定である.
2: おおむね順調に進展している
本年度に予定されていた計画内容であった大規模ニューラルネットワークを動作させる計算機環境が整備され,また本研究で用いるスパイキングニューロンモデルの基本特性が捉えられたことから,現在のところ順調に計画を遂行できている.
本年度に構築した計算機環境とニューロンレベルでの解析を行ったスパイキングニューロンモデルを用いて,小脳型スパイキングニューラルネットワークの実装を行う.
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