研究課題/領域番号 |
15K21471
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
信川 創 福井工業大学, 環境情報学部, 准教授 (70724558)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カオス / 下オリーブ核 / 状態跳躍 / スパイキングニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究で構築する小脳運動学習機構は小脳皮質と小脳核,下オリーブ核によって構成される.平成28年度は本申請課題の達成に向けて,小脳運動学習機構を実現するスパイキングニューラルネットワークの構築を以下の1,2の項目に関して実施した. 1. Velarde-Llinasスパイキングニューロンモデルを用いて,小脳運動学習機構を実現する下オリーブ核のニューラルネットワークを構築した.運動学習時の誤差情報の入力に対して,カオス共鳴的応答により情報伝播が促進されることを確認した.また,このカオス的なスパイク活動については,実際の下オリーブ核において観測されるスパイク活動と同期特性・基準振動・スパイク頻度といった生理学的な特性に関して一致していることも確認した. 2. 皮質系のスパイクパターンを生成する状態跳躍を含んだスパイキングニューロンモデルの分岐解析を実施した.状態跳躍の導入により,アトラクター構造に非線形性を有した折畳み構造が追加され,その効果によって,跳躍パラメータの調整により,従来の連続的なスパイキングニューロンモデルでは現れなかった多様な分岐と発火パターンが生成されることを確認した.このように構築したスパイキングニューロンモデルは,小脳運動学習機構を実現するスパイキングニューラルネットワークにおける小脳核や小脳皮質系のニューロンに利用できるものである. 1,2の成果に基づき,次年度は小脳型スパイキングニューラルネットワークの学習性能評価を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定されていた計画内容であった小脳運動学習機構を実現するニューラルネットワークの構築がほぼ完了したことから,現在のところ順調に計画を遂行できている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に構築した小脳型スパイキングニューラルネットワークを用いて,その学習性能の評価を実施する.
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