研究課題/領域番号 |
15K21475
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
三嶋 智之 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 准教授 (00434522)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ピロロキノリンキノン / HepG2 / 中性脂肪 |
研究実績の概要 |
本年度はピロロキノリンキノン(PQQ)の培養肝細胞における中性脂肪の代謝促進の効果について調べるため、細胞への脂肪蓄積を誘導する条件について検討した。 本年度はヒト由来肝細胞としてHepG2細胞を用い、各種脂肪酸や糖質を添加した培地で培養することで、細胞内の中性脂肪蓄積が促進される条件を検討した。まず、円形カルチャースライドグラスをあらかじめウェルの底に入れた24穴プレートにHepG2細胞を播種し、E-MEM培地にてコンフルエントになるまで7日間培養した。そこに、BSAと脂肪酸(パルミチン酸/オレイン酸/ステアリン酸)もしくは糖質(スクロース/フルクトース/グルコース)のいずれか、もしくは複数を含むPBSを培地に添加し、さらに培養した。複数の条件下で培養を行い、得られた細胞をスライドグラスごとオイルレッドO染色にて中性脂肪を染色し、顕微鏡下で観察したところ、1% BSAと5mM 脂肪酸(パルミチン酸: オレイン酸= 1: 1)の条件下で4日間の培養にて最も多量の中性脂肪の蓄積が観察された。また染色によって中性脂肪に取り込まれた色素をイソプロパノールにより抽出し、抽出液を分光計で測定することで中性脂肪量を定量的に観察したところ、鏡顕下でのイメージングと相関が得られたことから、今後は画像処理により中性脂肪量を測定することととした。 さらに現在は、この条件下で中性脂肪を蓄積させた細胞にPQQを各濃度で添加し、中性脂肪の減少量について調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
細胞培養によるPQQの生理機能の探索を試みているが、インキュベーターの故障による培養細胞の維持が一時的に困難になり、修理等に時間を要したことから、実験計画に遅延が生じた。現在は復旧しており、順次実験を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、培地に遊離脂肪酸を添加することで中性脂肪を蓄積誘導したHepG2細胞にPQQを種々の濃度で添加し、その蓄積量が減少するか否かについて調べている。また減少が見られた場合、その代謝がどのように活性化されているかを調べる予定である。 また、動物実験においては高脂肪食を投与したラットにおいて血中の中性脂肪やコレステロールの減少が見られたことから、今後は高スクロース食などにより肝臓への中性脂肪の蓄積を誘導したラットにPQQを投与することで、PQQの肝臓における脂肪代謝促進作用について、さらに検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養によるPQQの生理機能の探索を試みているが、条件検討の実験を行った後に、CO2インキュベーターの故障による培養細胞の維持が一時的に困難になり、修理等に時間を要したことから、実験計画に遅延が生じた。現在は復旧しており、順次実験を行っているところである。また、研究者の研究以外の業務(教育、雑務)の多忙に加え、未満児の養育等に時間を要し、研究が時間的に計画通りに進行していないことが次年度使用額が生じた理由である。
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