研究実績の概要 |
ヒトの遺伝子性疾患において、同一遺伝子の異なるミスセンス変異によって、異なった疾患を発症する例が多く存在し、そのメカニズムの多くは未解明のままである。 本研究では、これらのメカニズムを理解するために、疾患変異とタンパク質超分子複合体構造との関係について解析した。本年度は、特に、顕性遺伝様式をとる疾患の主な発症メカニズムである、ハプロ不全(HI)、ドミナントネガティブ(DN)、機能獲得(GF)の3種類に着目して、分子間相互作用との関係について解析した。その結果、HIはDNAとの相互作用、DNはDNA及びホモサブユニットとの相互作用、GFは同一サブユニットの異なるドメイン間の相互作用にそれぞれ有意に多いことを見出した(Hijikata et al., Sci Rep. 2017)。超分子複合体構造における相互作用の情報に着目することで、変異による疾患発症メカニズムを予測できることを示唆する結果が得られた。 実施者が開発したヒトバリアント解析ツールMutation@A Glanceに、研究期間中に更新された公的データベース(dbSNP, COSMIC, ClinVar)のデータ及び新たに公開された6万人規模のエクソームのバリアントデータ(ExAC)を取り込んだ。これにより、約3億件のバリアントデータが参照可能となった。同時に、Mutation@A Glanceのウェブインターフェースを刷新し、マルチプルアラインメントや疾患の種類ごとに変異部位を区別して表示させるなどの機能拡張を行なった。これらの情報は、http://mutation.nagahama-i-bio.ac.jp/より閲覧できる。
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