今年度は、本研究課題を採択済みの国際共同研究加速基金(A)に発展させることを主な目的として活動し、以下の成果を得た。 (1)1970-2017年までのマレーシアの予算書のデータ分析:省庁別・部局別割当額の推移/予算種類(一般会計・開発会計)別推移/予算額および執行額の推移の分析により、1990年代半ばを境に予算配分のパターンが変化したことが明らかになった。とりわけ、財務省への配分額・割合の増加、補正予算の増加が顕著な傾向として見られ、これが主に補助金および政府系企業への配分額の増加によることがあらためて確かめられた。 (2)予算書データのデータベース化:ジャーナリストや市民、研究者による利用を想定して、予算データのビジュアル化を進めた。データ分析ソフトウェアを利用して、年度、省庁、予算種類、予算額・執行額について、インタラクティヴに数値を表示することのできるテンプレートを作成した。データベースは、国際共同研究加速基金(A)の補助をうけ、ウェブサイトで公開する予定である。 なお、当初計画していた決算書の分析は、2017年の国会図書館の移動に加えて、2018年以降の財務省、国会図書館のデータ公開の方針変更のために断念せざるを得なかったが、予算書からも決算の数値を得ることができるため、大きな問題とは考えていない。
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