本研究は、朝鮮民主主義人民共和国における音楽政策の意味を明らかにするために、①歴史的に分析する②音楽とプロパガンダを結びつける社会学理論を援用する③北朝鮮の音楽政策を説明するモデルを構築する④金正恩体制における音楽政策の特徴を分析し構築したモデルの有用性を検証する、という4段階で構成されており、各年に渡って一定程度成果を出してきた。2018年度は研究の最終年度であり、研究の全体像を再確認しながら、主にモデルの有効性の確認・検証と、金正恩体制における音楽政策の特徴について分析をすすめた。具体的には、研究計画に基づき、次のように研究を進捗させた。 1. 2017年度の研究によって、朝鮮民主主義人民共和国の「金正日時代」の音楽政策を説明する基本モデルについてある程度構築したが、そのモデルの不十分な点を補完をしつつ有効性を検証・確認した。 2. モデルの有効性を測定しながら「金正恩時代」の音楽政策について分析をすすめた。特に、「金正恩時代」の音楽政策については、その概略と注目すべき要点(「金正恩時代」の音楽政策の方向性、「金正日時代」の音楽政策との共通性、国家政策と音楽団の関係性)はある程度解明できたと考える(次項の研究成果を参照) 3. 研究成果については、主に次のようにアウトプットした。森類臣(2018)「朝鮮民主主義人民共和国の『金正恩時代』における軽音楽路線―牡丹峰楽団、青峰楽団を中心に―」(『韓国学と朝鮮学、その争点とコリア学1』パラダイムブック ※韓国語)、森類臣(2018)「『金正恩時代』の『音楽政治』―牡丹峰楽団を中心に」(『現代韓国朝鮮研究』第18号(特集「北朝鮮研究の先端」)、現代韓国朝鮮学会、pp.34-52)
|