今後、長期にわたり人口減少が想定される中、持続的な水道事業経営を実現することが課題となっている。本研究は、(1)人口減少が水道事業経営へ与える影響を定量的・定性的に把握する、(2)人口が減少している自治体における水道事業経営に対する住民の意識や認識を把握する、(3)一般住民の水利用実態を把握することを目的に実施してきた。平成30年度は、平成29年度に実施したWEBアンケート調査結果について特に水利用実態に関する詳細な分析を行った。なお、WEBアンケート調査は関西2府4県の33市町を対象に実施し、調査項目は水使用行動や使用水量に関わる項目、水道事業への理解度、住民参加に関する項目等であった。世帯人数別の平均原単位水量は、戸建の2人世帯で280L/人/日、3人世帯で240L/人/日、4人世帯で190L/人/日であった。近年増加が著しい戸建の単身世帯については、平均値で380L/人/日であったが、そのばらつきは大きかった。また、単身世帯における原単位水量と居住者年齢との関係については、明瞭な関係性が見られなかった。世帯人数別に要因カテゴリー別原単位水量を算出した結果、「6歳未満の子供がいる世帯」では原単位が小さくなる傾向が見られた。また、戸建において「高齢者のいる世帯」では原単位が大きくなる傾向が見られた。「洗濯回数が少ない世帯」や「風呂の残り湯を利用する世帯」では原単位が小さい傾向を示しており、水利用行動が直接的に原単位へ影響を与えているものと考えられた。 また、過去に滋賀県大津市・草津市で実施した調査結果との比較を行った。その結果、原単位は経年的に減少傾向が続いていることがわかった。さらに、数量化理論I類を用いて、影響要因の経年的な変化も把握した。その結果、「6歳未満の子供有無」や「洗濯回数」は経年的にも大きな影響要因であることがわかった。
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