研究課題/領域番号 |
15K21503
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
井澤 友美 立命館大学, 国際関係学部, 助教 (50750428)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インドネシア / バリ / 世界遺産 / 観光 / 民主化 / 地方分権化 / ユネスコ / スバック |
研究実績の概要 |
2015年度は、2012年に登録されたバリ島初の世界遺産に焦点をあてた。バリ平和民主主義研究所とバリ・ポストを拠点に、資料収集およびインタビューを実施した。世界遺産制度をめぐる文化保存・強化運動と衰退する農業の実態と課題を踏まえ、そして世界遺産登録制度の影響および成果を明らかにした。それを立命館大学人文科学研究所より「世界遺産と観光:インドネシア・バリ州の事例から」として発信した。そこでは、観光開発が外部の投資家だけではなく、それと結びつく地元のアクターが重要な役割を占めること、観光開発の高まりが水資源や土地をめぐる争いをもたらし、地域社会の緊張を高めている実態を浮き彫りにした。その実態から、国際協力という機能をもつ世界遺産制度がバリのなかでも脆弱な立場で生活する人々とって意義あるものかを明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
バリ平和民主主義研究所をはじめとするバクリー大学、ガジャマダ大学などの現地研究者との議論の場を多く設けられたことに加え、オランダのライデン大学をはじめ、インドネシア以外の外国人研究者とのネットワーク構築が進んだためである。また、UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)や国際NGOsとも頻繁に交流し、理論だけでなく実践における現状把握がよりスムーズにできるようになったことも挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度の成果を踏まえつつ、都市部におけるバリ文化の保存・強化に向けた制度・運動をオランダ植民地時代の文化保全運動と関連付けながら再考する。植民地時代の文化強化がスハルト権威主義時代を経て、民主化以後のバリでどのような影響を及ぼしているのかを歴史学的側面から再検討する。特に、バリ・ヒンドゥー教の制度化、変容に注目しながら、民主化とバリ・ヒンドゥー教との関係性を整理する。そのため、2016年度の夏季休暇(8-9月)と 春季休暇(2-3月)に平和民主主義研究所およびバリ・ポストを拠点に現地調査を実施する。加えて、文化強化運動における中心的役割を果てしてきたバリ・ポスト社にて新聞記事および出版物を収集し、運動の推移を明確にする。成果は国内外でのシンポジウム、学会報告ならびに雑誌投稿を通して公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インターネットで予約していた外国の書籍が取り寄せ不可になり、急遽キャンセルに至ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
他の書籍購入に充てる。
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