2017年度は国際観光地というグローバルな空間において異なる価値基準が交錯するなか、地元住人の観光開発への参与のあり方を検討することを主な目的として研究を進めた。2012年に登録されたバリで初となる世界遺産「バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバック・システム」に注目し、バリ観光の課題の一つである農地の減少および11世紀頃から存続するスバック(水利組合)の弱体化を明確にしつつ、問題の克服の一つの手段として国際協力の理念に基づく世界遺産制度の可能性を模索した。そのために、バリ州におけるフィールドワークと新聞記事およびタブロイド記事の収集に加え、1950年以前からの東南アジアの蔵書を抱えるオランダのライデン大学図書館にて資料収集を行った。
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