研究課題/領域番号 |
15K21504
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田中 亜実 立命館大学, 理工学部, 助教 (70734151)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 尿失禁センサ / 尿発電 / パワーマネジメント回路 / 低電圧起動 / 活性炭 / おむつ取り替え |
研究実績の概要 |
本研究では、エナジーハーベスト技術の有用な活用方法の一つとして「尿発電を用いたウエアラブルなバッテリレス無線尿失禁センサシステム」を実現させ、実用化を目指すことを目的としている。本技術により得られる電力はとても小さく、有効に活用するためには、エネルギー収支のバランスがとれたシステムの構築が重要である。そこで我々は、尿失禁センサシステムの電源として、尿失禁時の排尿を利用した発電を用い、パワーマネジメント回路により、エネルギーの収穫と消費をコントロールした。 当該年度では主に、おむつ取り替え時期検出機能の実装を行った。具体的には以下の2つの内容を実施した。 1つ目は、最適なおむつの取り替え時期の検証および取り替え時期判別アルゴリズムの検討を行った。おむつの取り替え時期として好ましいのは、おむつに吸収された尿がおむつから逆戻りし始める時であり、そのタイミングは、失禁回数やおむつに含まれる総失禁量で決定されるものではなく、各失禁当たりの失禁量によりおむつを取り替えるべきタイミングまでの失禁回数が変化することを明らかにした。また、本検証結果を基に、各失禁当たりの失禁量と失禁回数からおむつの取り替え時期を判別するアルゴリズムの検討を行った。 2つ目は、尿失禁センサから間欠的に送信される無線信号の間隔が尿発電デバイスの発電量、すなわち、失禁量に依存するという昨年度の研究結果を基に、受信機が受信した無線信号の間隔から尿失禁が起こったタイミングとその時の失禁量を検出する手法を確立し、1つ目で検討したおむつ取り替え時期判別アルゴリズムと共にシステムに実装した。この際、尿発電デバイスの電極として活性炭電極が有効であることを明らかにした。人工尿を用いた実験により、本システムで取り替え時期が正しく検出されることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大きな理由として、前年度に予定していたおむつ取り替え時期検出機能のシステムへの実装が前年度中に完了しなかったため、本年度に繰り越して行ったことが挙げられる。 また、当初の予定では、該当年度内に実際の使用現場における意見収集と使い勝手等の検証実験とさまざまな体位での使用における高効率なアンテナの設計を行う予定であったが、現状では、検討・準備等は進めているがどちらも完了していない状態である。 これらの理由から、上記区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず、赤ちゃん用おむつで確立させた本システムの大人用おむつへの適用を完了すると共に、使い捨てとなる尿発電デバイスと繰り返し使用の回路基板(パワーマネジメント回路や無線機等)を接続するために必要な取り扱いが簡単なコネクタの作成を完了させ、実際の使用現場における意見収集と使い勝手等の検証実験を行える形とする。また、これらと並行して、さまざまな体位での使用における高効率なアンテナの設計を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、現在までの進捗状況の理由欄に記載した、使い捨てとなる尿発電デバイスと繰り返し使用の回路基板(パワーマネジメント回路や無線機等)を接続するために必要な取り扱いが簡単なコネクタの作成を完了していないことから、当初、物品費として予定していたプリント基板作成とホットエアー購入が当該年度で行えていないため、また、本年度中に論文投稿が完了していないためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分は、当初の予定通りプリント基板作成とホットエアー購入、論文掲載費に使用し、翌年度分として請求した助成金は交付申請書に記載した通り使用する予定である。
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