研究課題/領域番号 |
15K21507
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
神谷 祐介 龍谷大学, 経済学部, 講師 (30636072)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジェンダー / 開発 / ラオス / ランダム化比較試験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、開発途上国におけるジェンダーと開発の関係性について、H25-26 年度の若手研究(B)「開発途上国におけるジェンダー格差が母子の健康に与える影響」をさらに発展させる形で、実験・行動経済学的に解明することである。2016年度の実績としては、第一にH25-26年度の研究で収集したラオス農村部での世帯調査データを用いた論文を執筆したことが挙げられる。具体的には、アウトカム変数に妻の生活満足度を、説明変数に自身の自律性(autonomy)に関する本人の認識と夫婦間での合意という変数を用いて回帰分析を行なった。その結果、自身の自律性が高いと認識している妻ほど生活満足度が高いこと、妻の自律性に関して夫婦間で合意がされているほど妻の生活満足度が高い傾向がみられた。この論文は現在査読付国際ジャーナルへの投稿準備中である。また、その他には、アウトカム変数に子どもの健康状態を用いた分析についての論文も執筆中である。第二の実績としては、2016年5月に、コミュニティや家庭内でのジェンダー指標が健康・教育アウトカムに与える影響を厳密に分析するフィールド実験のためのパイロット調査を実施したことが挙げられる。今後は、このパイロット調査の結果をもとに、子どもの人的資本形成や家族の厚生に良い効果を与えると思われる介入を複数考案し、その効果検証に係るランダム化比較試験を行う。そして、各種介入が世帯員の厚生にいかなるインパクトをもたらすか、また、どのような内容の介入が家庭内部での男女格差の是正に寄与するかを解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度中に行う予定であったフィールド実験遂行のための現地協力研究機関との調整に時間がかかり、当初計画では全体で2年間であった研究期間を2017年度末までの3年間に変更した。ただし、既に調整は終了したため、2017年度中に全ての実験を含めた研究を遂行できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2017年8月より、ラオスのビエンチャン郊外の農村部の小学校を対象にしたラボ型のランダム化比較試験を実施する。その後、その結果を踏まえて、2016年9月には、同様のラボ型のランダム化比較試験と、農村に居住する家族を対象としたフィールド実験を実施する。2018年2月には、フォローアップを兼ねた補足的な調査と、ラオス現地での研究成果のディセミネーションワークショップを行う予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度中に予定していたラオスでのフィールド実験を2017年度に行うことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ラオスにて実施するフィールド実験遂行のため、現地での人件費・謝金及びその他に係る支出を行う。
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