神経膠腫の中でもWHO grade IVに分類される膠芽腫(glioblastoma:GBM)は現在の標準治療を最大限に実施しても治癒させることが困難な高度悪性腫瘍である。今回我々は動物治療実験を通じてX線治療後に照射野内の正常脳組織において生じる慢性的な病理学的変化が、悪性神経膠腫の増殖能、浸潤能、腫瘍血管新生能を亢進させる作用があることを見出し、その詳細な生物学的機序について明らかにした。この研究結果は悪性グリオーマの治療後再発のメカニズムについて新たな知見を提供するものであり、本疾患に対する新規治療法の開発に役立つものと考える。
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