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2016 年度 実施状況報告書

子ども連れが安心して利用できる駅周辺広場を実現する計画手法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K21512
研究機関大阪産業大学

研究代表者

船曵 悦子  大阪産業大学, デザイン工学部, 講師 (60369519)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード子ども連れ / 駅周辺広場 / 待ち合せ / 行動 / 滞留行動 / 停留行動
研究実績の概要

近年、駅前再開発によって、従来の交通結節点としての駅前広場だけでなく、駅を中心として駅ナカ、駅ウエ、駅シタなど、駅舎および駅ビル内外に広場空間が設けられている。本研究では、これらの広場の総称として、「駅周辺広場」とする。駅周辺広場は、中心性、拠点性、結節性、シンボル性などの特徴を併せ持っており、多くの人々が利用する。そのような場所において、歩きながらのスマートフォンの使用や位置情報を活用したアプリケーションソフトの普及によって、公共空間の利用における安全性が今まで以上に求められつつある。その上、駅周辺広場には、イベント空間や緑や水を用いた広場空間が計画され、その利用状況は待合せのみに限らず、イベントの開催や木陰での休息、水辺空間での親水行為、災害時の避難場所など、従来に比べ広場空間における行為が多様化してきている。
本研究は、そのような駅周辺広場において利用実態を評価するための指標、あるいは新しい広場を計画する際の指標を示し、子ども連れが安全に利用できる駅周周辺広場を示すことを最終目標としている。
今年度は、広場の利用者を通行者・停留者・滞留者の3者に分け、そのうち停留者と滞留者の注意方向(視線の方向から推定した空間的注意)のパターンを4つに分けられると仮定する。それぞれ、〈一様〉は停留・滞留者の注意方向に偏りがない、〈偏在〉は停留・滞留者の注意方向が一定方向、あるいは一部に偏りがある、〈集中〉は停留・滞留者の注意方向が中心に集まる、〈拡散〉は場として中心性があり、停留・滞留者の注意方向が中心から放射状に広がる注意方向のパターンである。さらに注意方向についての観察調査に加えて定量的な分析を行い、駅周辺広場における停留・滞留特性を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

駅周辺広場の観察調査から、利用者の密度分布および密集離散度を求めた。その結果、以下のことを見出した。
(1)密度分布の分析より、滞留行動が発生する位置は、空間の構成要素である時計台や上下移動階段付近、ベンチや段差といった座ることができる場所に集中する。一方、停留行動が発生する位置は、通行者の動線空間上、百貨店入口、案内板付近で見られるが、滞留行動より停留行動の方が行動発生位置の範囲が広がる。
(2)構成要素と利用者の行動では、利用密度が高い広場ほど待合せ空間としての利用が多く見られる。屋外に位置する広場は利用密度が低く、くつろぎ空間としての利用が多く見られる。
(3)観察調査からの停留・滞留密度分布に加えて定量的な分析として密集離散度を用いた結果、停留・滞留者の注意方向は、利用密度に大きく影響され、利用密度が極端に高い場合と低い場合は、構成要素が十分に機能しないことが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

当初は、マルチエージェントシステムを用いた人間行動モデルを構築することが課題であったが、実際の観察調査で得た人間行動を仮想空間で再現することが困難であり、単純化すれば実際の空間との差が大きくなることから、試行錯誤が必要である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、論文投稿が遅れ、次年度へ繰越す研究費が発生した。

次年度使用額の使用計画

次年度は、論文投稿料等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 利用者の密度分布にみる駅周辺広場における停留・滞留特性2017

    • 著者名/発表者名
      船曵悦子,松本直司,廣澤克典,大橋怜
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集

      巻: 第82巻 第739号 ページ: 2257-2266

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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