研究課題/領域番号 |
15K21514
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
大野 麻子 大阪産業大学, 工学部, 講師 (90550369)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | レポート盗用発見 / 記述スタイル特徴 / 作成者認証 / 教育工学 / 知的学習システム / 隠れマルコフモデル / 授業支援システム |
研究実績の概要 |
自然言語文書を対象とした盗用発見では一般に他者データ間の類似度を算出する.このような手法は例えばWebサイト上に掲載された記事をコピーペーストするような盗用に対し高い検出力を示している.しかし一方で,偶然の一致を盗用と誤判定するケースが危惧される.同一の出題内容に対し作成されるレポート文書には同様の単語が含まれることが多く,また,同一の授業課題であれば受講者間の文書構造も類似しやすいためである.本提案手法は提出されたレポートが提出した学生本人によって記述されたものであるかを,過去に提出された複数のレポートから抽出・定量化した文章記述上の癖(レポート作成者の記述スタイル特徴)を用いて作成者認証を行うことにより判定する.本手法は既存手法の代替ではなく異なるアプローチをとる既存手法と併用することにより盗用発見の精度を向上させることを目指している.これまでに行った実験結果から,盗用発見に有用な作成者特徴を検出可能であることを確認した.また,他者との比較でない検出手法であることにより,盗用発見に関わる教員・学生の精神的負担の軽減についてもその有用性を示唆するアンケート調査結果を得た. 平成30年度は29年度中に行ったサーベイや開発したシステムを用いて行った評価実験の検証結果を取りまとめ,国際学会プロシーディングス(査読有)に投稿し口頭発表を行った.国内外の研究者との議論や実験結果をもとにさらに検討を進め,国内英文論文誌にその成果を投稿した(現在査読審査中).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の評価実験において確認された誤判定の原因究明を行い,追加実験を通して前処理を含めたアルゴリズムの一部見直しを行った.また,他の機械学習手法(決定木)の併用について検討を行った.これまでの研究成果について国際学会プロシーディング(査読有)に投稿し,口頭発表を行うと共に国内外の研究者との意見交換や情報収集を行った.得られた知見をもとに再度実験を行い,結果をとりまとめて国内英文論文誌に投稿した(現在査読審査中).
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今後の研究の推進方策 |
現在,機械学習手法を用いて自然言語文書の分類を行う試みが多く報告されている.本手法においてもアルゴリズムの一部に決定木を組み込むことを検討中であるが,Skip-Gramモデルを用いてレポート内容に依らない作成者特徴を定量化する検討についても併せて行い,本手法による誤判定の軽減および盗用発見精度の向上に少しでも貢献したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金については当初雇用を予定していた対象者の都合がつかず断念したため使用額が予算額を下回った.また,旅費については当該年度の支出額は概ね予定通りであったが,平成28年度~平成29年度に宿泊を伴う出張ができなかったことにより全体の使用額が減少し,結果として次年度使用額が生じた.平成31年度はより積極的な研究成果報告を行うことで残額を全て使用する予定である.
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