研究実績の概要 |
本年度は当研究室で開発をした2'-O-メチルジチオメチル(MDTM)-siRNAおよびジスルフィド基に隣接するアルキル基をtert-ブチル基とした2'-O-tert-ブチルジチオメチル(tBDTM)-siRNAのRNA干渉能の評価を行った。 まず、抗ルシフェラーゼ活性を有するsiRNA配列中のセンス鎖、アンチセンス鎖にそれぞれ1~4箇所2'-O-MDTM修飾を施したsiRNAの合成を行った。修飾部位の組み合わせを変えた計7種の2'-O-MDTM-siRNA及び同一箇所に2'-O-メチル修飾を施した2'-O-Me-siRNAの抗ルシフェラーゼ活性(RNA干渉能)を比較した。その結果siRNA中のアンチセンス配列中に含まれるシード領域に修飾を施したsiRNAに関して、プロドラッグとしての機能を持たない2'-O-Me-siRNAではRNA干渉能が大きく低下したのに対して、2'-O-MDTM-siRNAは天然型siRNAと同等以上のRNA干渉能を有することが明らかとなった。 この結果を踏まえアンチセンス鎖のシード領域に2'-OH,2'-O-MDTM,2'-O-tBDTM,2'-O-Me修飾を導入したsiRNAをそれぞれ合成後、それぞれのRNA干渉能の評価を行った。その結果、先述した結果と同様に2'-O-Me-siRNAよりも2'-O-MDTM,2'-O-tBDTM-siRNAは高いRNA干渉能を有し、ジスルフィド基に隣接するアルキル基はsiRNAのRNA干渉能に大きな影響は及ぼさないことが明らかとなった。 今後2'-O-アルキルジチオメチル-siRNAのアルキル基としてデリバリー分子などを結合させることで、細胞内輸送能の効率化などを目的とした新規機能性プロドラッグ型siRNAの設計を行っていく予定である。
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