本研究では,数値的条件の悪い非線形最適化問題 (NLP) に対する研究を行った.NLP には,求解途中で問題の数値的条件が悪くなり,安定して求解できない問題がある. この問題を克服するために,本研究では計算精度を任意に設定できる多倍長精度計算を用いた NLP ソルバ(求解ソフトウェア)を作成し,通常用いられる倍精度計算では求解できない NLP が多倍長精度計算で求解できるケースがあることを示した. さらに,本ソルバを用いて,数値的条件の悪い NLP の求解過程で生じることのある現象の一つである Maratos 効果について詳細に調べ,その現象が生じる領域が限定的であることを示した.
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