研究課題
外来抗原に対する獲得免疫応答等において,T細胞―抗原提示細胞(APC)間の特徴的超分子構造”免疫シナプス (IS)” が形成される.ISの特異性と接着時間は,その後の細胞運命を決定づけるため厳密に制御される必要があるが,その分子制御メカニズムの詳細は未だ不明な点が多い。本研究では,接着分子リンパ球インテグリンLFA-1に注目し,IS上でのLFA-1結合時間制御機構に焦点を絞り研究を進めた.先ず,LFA-1とそのリガンドICAM-1との結合を一分子レベルで可視化する目的で,平面脂質二重膜に提示した蛍光標識化ICAM-1とマウス由来初期培養T細胞上のLFA-1との相互作用を全反射顕微鏡を用いて観測する系を立ち上げ,解析をおこなったところ,ICAM-1/LFA-1の結合時間は細胞接着面状で一様ではなく接着面の領域によって異なり.3秒以下の短い結合時間を持つICAM-1/LFA-1はIS内でLFA-1/Talin-1等の局在が知られているドーナツ型のperipheral SMAC領域全体に渡って分布するのに対し,10秒以上の長い結合時間を持つICAM-1/LFA-1は,pSMAC内部に位置しTCR/pMHC/PKCtheta等の局在が知られるcentral SMAC辺縁領域に集積することが明らかになった.細胞内因子を標識した初期培養T細胞を用いて上記の解析を行ったところ, 活性型Rap1やKindlin-3等のLFA-1活性化に重要な因子がpSMAC領域内側に局在し, 長期結合型LFA-1と共局在することが明らかになった.また,Rap1やKindlin-3を欠損/ノックダウンしたT細胞では長期結合型LFA-1の割合が顕著に減少したことから,pSMACとcSMACの間に新規の領域が存在し,それが足場となり安定なLFA-1―ICAM-1相互作用を助けていることが示唆された.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)
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