本研究の目的は,高齢者が次世代に対して利他的な行動をとる場面において,高齢者と次世代の間でどのような世代間相互作用が行われているのかについて検討することであった。 最終年度に実施した本研究では,退職後の利他行動として地域の子育て支援を行う中高齢女性の参加開始動機を明らかにすること,そして開始動機によって継続動機や心理発達が異なるのかを明らかにすることを目的とした。地域の子育て支援を行う1グループに所属する女性9名(61.56±4.16歳)を対象とし,質問紙を用いて,「子育て支援の参加開始・継続動機」,「世代性」について尋ねた。開始動機の類似性により対象者を分類したところ,「知り合いから誘われた」において得点が高い受動型と,「育児中の親の助けになりたい」「経験を活かしたい」等において得点が高い能動型に分類された。また,能動型は「社会の役に立っている」,「親との触れ合いが楽しい」という継続動機や,世代性の「コミュニティや次世代への貢献」が受動型よりも有意に高い結果となった。子育て支援への参加開始動機には個人差があり,それによって継続動機の種類や世代性の高低が異なることが明らかとなった。
|